朝吹

　東洋のようでいて、そうではない何処か。 　武江さんがその心の中に作り上げた、何処かの遠い國。 　そこで起る怪奇を、鼻先を過ぎる香の匂いを捉えるように、或いはサティの音楽のように書…続きを読む

　親子の情愛を描いた作品。ときけば、人は感動ドラマを想い浮かべる。 　抱き合って号泣するような。 　それも悪くないのであるが、本作はその路線をうまく避けている。それが出来たのは、世…続きを読む

　第一弾「いまそれやるの　Early Days」 　https://kakuyomu.jp/works/822139839441015499 　第二弾「いまそれやるの　Glori…続きを読む

　孤児院で育った女の子が、命をたすけてくれた「お兄さん」に送る手紙。 　となれば、ウェブスター「あしながおじさん」を想い浮かべない人はいないだろう。 　お兄さんは軍人で、普段は戦…続きを読む

　全てでは無論ないが、メインロードのweb小説で辟易するのは、「！！」つきの会話が延々と続くという点で、もちろんそれが面白みになっているのは分かるのだが、毎度毎度それでは、十往復も…続きを読む

　第3回山羊座賞受賞作品。 　新人賞にもってこいな作風があるとしたらこれだろう。 　現状、飯に困らず生きていける日常に大きな不満があるわけでもないが、かといって日々、溌剌と元気に…続きを読む

　あえて句読点を減らし、平仮名と漢字のバランスにまで配慮してみっちりと刻まれた美しい文字列は、まるでブリューゲルの銅版画でも見ているような気持ちになる。 　それとも三島由紀夫を愛好…続きを読む

　選考ありの自主企画にエントリされていたので、結果発表を待ってからのレビューとなってしまいましたが、特別賞を獲るのも当然、今、全力で推せる方です。 　この方の作風を嫌いな方なん…続きを読む

　魚豊の漫画「ひゃくえむ。」に出てくる、小学生、小宮くん。 　情熱だけで突っ走る出鱈目で我流な走り方を経て、きれいなフォームを学ぶも、 「最適解のフォームなのに　　その走り方には…続きを読む

　どうして♯12から始まるの？　と思ったら、前作があった。 　前作は公式さんからのレビュー✨をもらっている。引き続き、こちらも良作である。 地域密着型のメガネ屋さん、勤務歴一年弱…続きを読む

　どんなに病んでいてもぎりぎり心が健康でないと小説は書けない。 「え？　病んでます？　いえいえ、もうどうしようもなく頭脳はすぱっと健康です」こんな健康度だ。 　ものすごく病んでい…続きを読む

　ソナタさんの作品は、その背後にたくさんの色や光や知識が隠れている。 　紡がれる言葉は絹のスカーフのように、軽やかで、するすると、上質な手触りを伝えてくれる。 　人間になりたい吸…続きを読む

　海つ罪、とはどのような罪なのだろう。 　ともあれそれは、ふたりの童子が石もて海神の宮を追放されるほどの罪なのだ。 　いっさいの業を波に洗われ、あどけなき丸い姿と変わり果てるも、昇…続きを読む

　モキュメンタリーにはネットの匿名掲示板が効果的に使われる。 　昔ならば新聞や雑誌の、読者からのお便り欄だ。 　匿名掲示板でお馴染みのデフォルト名『名無しさん』。その投稿からこちら…続きを読む

（神崎＝本編に出てくる編集者の名前。カクヨムでご活躍されている同名の紳士淑女の皆さんとは無関係です） 　作家のくだらんこだわりだの、わが魂の発露など、不要なんです。 　いや、あっ…続きを読む

　ものを書くことは心を削る。 　精神を絞る。 　最初から最後まで殺伐とした地獄で、一文字一文字、自己否定の業火に炙られるだけの日々。 　つい先月も十万字以上書いて、PVは３だった…続きを読む

　世の中には関わってはいけない人間というのが一定数いる。 　脳の欠陥ゆえにか、彼らは一律、同じ言動をとる。 　こちらも典型的なモラハラ夫の「あるある」で、書かれていることは「毎度…続きを読む

　いわゆる学徒動員で、大学や専門学校から無理やり戦争に引っ張られていった青年層は、多くの戦死者を出した。 　限られた者しか進学しなかった時代、出撃前にしたためる遺書も立派なものであ…続きを読む

　またやってしまった。 　まただ。 　シンプルに「好き」なことを書けば良かったのか、みんなのように。 　そうだったのか。 　公式自主企画「この夏、あなただけの“好き”を届けよう…続きを読む

　宗教にはまった家に生まれるというのは、生まれながらの地獄である。 　一方で、人間は頭を抑えつけられて生きるものではないとも、教えてくれる。 　幼少期より歪んだ考えを植え付けられ…続きを読む

※BL作品です 　あ、これBLなのね。ということに読んでから気がつきました。 　雑食読みなので全然ＯＫですが予備知識なしだったのでちょっとびっくりした汗。 　てっきり海洋冒険…続きを読む

　理由あって大急ぎで小説を書き飛ばしている時に、帆船のあの部分、あれ、あの箇所、なんて名だっけ……と調べる必要が出てきました。 　ホーンブロワーが好きなわたし、帆船小説を書いたこと…続きを読む

　円満家族。 　それは文字通りの誰もが羨む花丸家族であろうが、そんな家庭は数えるほどしかこの世にはない。 　どんな家族であってもどこかしら、何かしら、欠けており、日々、小さなものか…続きを読む

　少女向けの陰陽師もの。 　没落した貴族の家の娘がそのふしぎな力を乞われて「二年」という期間限定で嫁いだ先にいたのは、若き陰陽師。 　心を交わすことも、床を共にすることもないと云わ…続きを読む

　冒頭一行目から、「あ、この人は巧い。そして、きっといい作品だろう」という強い予感をもって読んだ。 　寝る前のお子さんに語りきかせるのに丁度いい、「ふふっ」と素直に胸が温まるよう…続きを読む

『人種：オカン』が大抵そうであるように、わたしも、ぽいぽいさんである。 　何かあれば、友人に「いる？」と写真を送って、必要ならば小包で送る。 　その際には、「お礼のお返しはいらない…続きを読む

　長年、同じような人物にストーキングされている。こちらの男性とは違い、その人物は女性だ。 　どんなにわたしが創作に打ち込みたくても、対人操作を加えた、「妨害」をしてくる。 「気づき…続きを読む

　太平洋戦争中、都市部を襲った空襲の犠牲者の中には「江戸時代生まれ」の人が含まれる。 　高齢ではあるが、大政奉還も、安政の大獄も、知っている方がまだ生きていた。 「大草原の小さな家…続きを読む

　ヒロインの名が『玄関』で、キャッチコピーが「女神アテナに挑んだ少女ー転生から始まる地中海の英雄譚」 　この流れでいったいどんな物語を想い浮かべるだろうか。 　あいかわらず自由奔…続きを読む

　読まれない。読まれなかった。 　どれほど精魂を傾けても、どれほど精一杯を尽くしても、わたしの書くものには需要がなかった。 　誰にも届かなかった。 　誰一人、わたしの作品を理解し…続きを読む

　泣く子も黙るシャーロック・ホームズが登場するが、ホームズであってホームズではない。あの有名な名探偵にまつわるイメージを、ある意味悪用しているパスティーシュものである。※ここでいう…続きを読む

　難しいことを誰にでも分かりやすく説明することが出来る人が本当の頭のいい人だ。 　この通説は、頭のよい人たちの間ではなく主に学歴コンプがあり頭の悪い自覚がある下種な人々に、熱狂…続きを読む

　作者さま、実際の凶悪事件をもとに犯人を主人公にした小説を書くとピカイチなものを書けそうである。 　人間の暗黒面を書く。これは誰にでも出来ることではない。 　カクヨムで圧巻の一作…続きを読む

　わたしのお気に入りはジェロ―デル少佐とサン＝ジュストだった。 　今さらあの漫画について語ることは出尽くして、語れるとすれば読み手であった個人と作品との関係ということになるのだろう…続きを読む

　夕風に押された小さな石が淡々と転がってくるのを岸辺でただ見ているしかない。そんな文章。 　精神を病んだ男性の書いているものを拾い読みすると、たいてい、性悪女と結婚して、そして離…続きを読む

　KAC2025のお題を全て入れたお話。 　日本人形といえば、ぎろっと目が動いて髪を振り乱し宙を飛んだりするホラーとお馴染みであるが、人形とは、幼子のお友だちである。 　そして、…続きを読む

　武江成緒さんのことを、わたしは「無冠の帝王」と呼んでいる。※受賞歴はお持ちである。 　浮世の栄誉なるものに縁はなくとも、我ここに在りと燦然たる存在感を放っている書き手さんだ。 …続きを読む

　繊細なものを丁寧に綴る。 　それだけでその作品は情感を溶かした玻璃のような輝きを秘める。 　太陽ではない。どこまでもひっそりとした秘めた光だ。 　人形を流すという儀式の中にこめら…続きを読む

　素晴らしいレビューは他の方々に譲るとして。 　小説を書くことは街を作ることに似ている。 　そして登場人物がいくら躍動していても、書き手はその世界には入れない。 　エンデの「は…続きを読む

　プロのピアニストによる「きらきら星」を聴いたことがあるだろうか。 　きらきら星といったら、ピアノ初心者がやるあれだ。 　さて、ピアノ発表会にて、次は「きらきら星」だとプログラムに…続きを読む

　海外小説の翻訳を読んでいるような洒脱な会話が上々である。 　知ったかぶってる知識曖昧な野郎はまさかの生業だったが、実際にはこんなものだろう。 　夢の世界に片脚を突っ込んでいるのが…続きを読む

　いや、そうじゃない。そんな話じゃない。うん。 　でもなんでこのタイトル……と思ったのは確かで、しかし二度読んでみると、「ああ、そういうことか」と腑に落ちたのだ。 　二千文字とい…続きを読む

支配的な家庭に育った女性が同じく支配的な男と結婚してしまうのはＤＶ界隈あるあるで、何故かというと、親和性が高いからなのだ。 さらには支配的なＤＶ男は捕食行動期間のうちは理想的な完全…続きを読む

好きな人の好きな人というお題で書かれた、切ないまでに淫靡な一篇。 どのお題であっても官能に流れるのはたやすいが、一行目から読者を暗い秘密と歪んだ愛に引きずり込む手腕はさすが。寝取ら…続きを読む