概要
夜はの月雲がくれゆくそなたにぞ光ことなる御国こそあれ
室町時代に成立したかとされる『雲隠六帖』(『源氏物語』「幻」の続編、補作・偽書)のうち、第一帖「雲隠」の現代語訳を試みます。テクストは中世王朝物語全集14『松浦宮物語 雲隠六帖』所収の「雲隠六帖」(小川陽子訳注、笠間書院、2021)を底本とし、一定度の潤色を施した私訳となります。
※キャッチコピーは新日本古典文学大系67『近世歌文集 上』所収の「詠源氏物語和歌」(松野陽一/上野洋三校注、岩波書店、1996)のうち、大僧正教誉典海(増上寺五十六世)詠の「雲隠」巻名歌を引いたものです。
参考文献:
・安田孝子/ 吉田幸一編『繪入源氏雲隠巻』(古典文庫524、1990)
・今西祐一郎「雲隠六帖」(千本英史責任編集「日本古典偽書叢刊」第二巻『須磨記 清少納言松島日記 源氏物語雲隠六帖』、現代思潮
※キャッチコピーは新日本古典文学大系67『近世歌文集 上』所収の「詠源氏物語和歌」(松野陽一/上野洋三校注、岩波書店、1996)のうち、大僧正教誉典海(増上寺五十六世)詠の「雲隠」巻名歌を引いたものです。
参考文献:
・安田孝子/ 吉田幸一編『繪入源氏雲隠巻』(古典文庫524、1990)
・今西祐一郎「雲隠六帖」(千本英史責任編集「日本古典偽書叢刊」第二巻『須磨記 清少納言松島日記 源氏物語雲隠六帖』、現代思潮
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!雲隠の向こうへ
先行レビュー葵春香さんと似たようなことを書くがご容赦いただきたい。
源氏物語の最終巻は「雲隠」と名を打ったのみで、それにより光君の出家と死去を暗示させる仕掛けになっている。
本文が実はあった、いややはりなかった、諸説があるが、もし最初から狙ってこのようにしたのなら、まことに憎い演出である。
同時に読者はこの白紙に、半生をかけて長々と書き綴ってきた王朝絵巻の筆をおいた作者紫式部の、蝋燭が燃え尽きるまでを見届けるにも似た、心の空洞も見る気がする。
若かりし頃のように充足感をもって意気揚々と完結させたというよりは、「ああ終わったのだ。光君は旅立ったのだ」と紫式部自身が、光君の退場に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『源氏物語』のその先へ
『源氏物語』は言わずと知れた日本最古の長編小説であり、あの三島由紀夫をして「『源氏物語』以上の文学は書けない」と言わしめた作品だ。
『源氏物語』は余白・余韻・余情の文学とも云われる。
光源氏は最愛の妻"紫の上"が亡くなったあと、長い間嘆き苦しむが、彼の死については「雲隠」として巻名だけがあり、本文のない幻の帖となっている。
彼はどのような余生を送ったのか。
読者の想像力に委ねられ、"浮舟"のその後と共に哀しくも美しい余韻が残る。
その先を二次創作として後の世に書かれたものの一つが『雲隠六帖』だ。『源氏物語』愛好者の中には、原作の雰囲気がこわれるのを恐れ、敢えて読まない人もいる。私もその一…続きを読む