概要
この子らは、私のことなどもう知らない。それが淋しく、どこか嬉しい。
旧暦の盆、ネリヤカナヤから故郷の島へと帰った男は生前の妻との想い出に浸る。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!誰も知らない
一文一文が、よい意味で重い。詰まった織物のようだ。
そのせいで、こちらの背筋がぴんと伸びるような、緊張感のある読書を誘う。
舞台は作者さまが愛する沖縄である。
語り手はもうこの世のものではない。
俗な表現をするならば、お盆に帰ってきた魂である。
線香を立てて想い出してくれる人がいる間は、根の国より戻り、煙の中に溶け込んで漂う。
「彼」はまだ島の光や風の中にいる。暮らしていた家の中にいる。
妻の許にいる。
「彼」は多くのことを忘れているが、憶えていることもある。
いい夫ではなかったようだ。
すべて空なり。
独りずつ、いつしか誰もが消え失せる。
どうやら人は死んでも…続きを読む