自称クソ、の主人公。十代、または二十代前半の女性からはクソ、と申しますか、付き合っていた過去をなかったことにしたい相手、夢に出てきたらその日一日の気分が最悪。そんな男性なのかも知れません。ですが、それなりに年齢を重ねております者からしますと、『こういうこともあるよね』という感想を持てる。そんな主人公の、若い頃のほろ苦い思い出話。
この二人がいつか、再会できたときには。お酒くらいは呑めそうな、でも、いろいろ考えてしまって難しそうな。そんな気がするお話です。
私小説でなければ続編にて二人が偶然再会、ということもあり得たのでしょうか。そんな『かも知れない』も楽しませて頂きました。
ほろ苦くても、なんであっても。それが、青春。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
五千人くらい同じことを書いた人が過去にいるような気がするが、青い春と書いて「青春」とは、これ以外にないと断言したくなるほど、まことにぴったりな言葉だ。
さらにもう一段あがって、「さらば青春の光」(現在ではお笑い芸人のコンビ名になってしまったが、元ネタは映画の邦題だ)これもまた、「これしかないよなぁ」と心から想う。
だらだらと呑んでいた。
持ち寄った菓子と煙草と酒で、夜を過ごした。
今から想い出すとゾッとしてしまうが、落ちたら確実に死ぬような方法で校舎の屋上によじ登っていた。火事見物をする江戸っ子かと云いたくなるような、そんな高みがやたらとみんな好きだった。
きれいに見えた夜景。
……と、そんなことがブワッと蘇ってくるほどに、本作は青春なのだ。
作者さまの私小説らしいのだが、自らを「クソ野郎」と云っているわりに、「いや~だいたい皆こんなものでは」と大真面目に応えてしまいそうになる。
そのくらい等身大の「あの頃」だ。
読んで、「ああ、あれは確かに青春だった。痛かった」としみじみして欲しい。さらば青春の光。二度と巡ってこない一度きりの。