カンクスト国エスフィア公ハザン(第四王子)が出先で気まぐれに引っかけたのは、喋ることのできない美しい娘トゥリア。
姉とも慕うメリアに庇われながら育てられたトゥリアだが、トゥリアはそのメリアを喪っていた。
まだ男女のことも知らぬ子どものようなトゥリアに乱暴してしまったと、一夜明け、自己嫌悪に陥る第四王子ハザン。
そんなハザン王子の隣りでトゥリアは歌を口にする。
喋れぬはずの娘が歌っている。
その唄をきいたハザンは、自領エスフィアへと少女を伴う。
エスフィア公領に連れてこられたトゥリアは、機を織る。織るものは、なぜか必ず無地である。
「碧豹の騎士」ハザンは、「小鳥の君」トゥリアを、妻にしたいと望むようになる。
そこへ現れた魔導士ランドールは、トゥリアを見るなり、この娘には「祝福」と「呪い」の二重の術がかかっているとハザンに告げる。
そんな折、カンクスト王が死ぬ。
ハザンとトゥリアは第一王子が継いだ王城へと向かう。
そこでトゥリアは、死んだ育ての姉メリアにそっくりな青年と出逢う。
わたしがハザンを愛しているのは、呪いのせい。ハザンがわたしを愛しているのも、呪いのせい。
――ソレスの女王
――その歌をきいた男は、誰もが女王に魅了される。
――カンクストよ。滅べ。
離れ離れになるハザンとトゥリア。運命に翻弄されていく彼らは、亡国の呪いを解けるのか。
淑女のためのロマンチックなお伽噺。前日譚『魔女の国の女と門番のバラッド』もよい。