滅びゆく我らにせめてもの餞を

　かつて人類と亜種の間に戦争があった。戦争は勇者アズハルが白鷺王ミラを討ち滅ぼして終結したと思われたが、ミラは死を装い、姿を変えながらも生きていた。彼女は従者のバルとともに自由気ままな旅を続けていた。
　旅の途上、近くの村が襲われているのを見て、助けに入るも、襲撃者が勇者アズハルの一党であると聞かされる。本拠地は山を越えた街にあると聞き、真相を確かめるべく、乗り込んだ。
　大方の予想通り、その勇者は偽者だったが、本物の勇者アズハルも偽勇者の事件を追いかけていた。彼は仲間のフェリハとともにこの街に後からやってきたにもかかわらず、ミラとバルを差し置いて強引に偽勇者を退治したのだった。
　なぜかミラとバルは後片づけを手伝うことになり、その日の夕食をともにして、談笑するのだが、アズハルが酔いつぶれて…続きを読む