滅多に存在しない痛快ななろうです。
なろう小説とは結局俺つええを見るためのものなのです。
俺つええが求められてるのに中途半端な強さでなんだかんだ苦戦してなんとか勝つみたいな少年漫画の劣化作品が多い中この作品は違います。
完全に強い主人公が完璧に物語を支配しています。
殆どの作品は設定の面白さを序盤で使い切りよく分からない方向へ迷走するうちに作者が諦めて更新が途絶えます。
この作品はそれがありません。
設定を最大限使い切り、展開もどこかでみたパターンだななんてことは無く続きが気になる面白さ。
こういうので良いんだよ!と頷ける数少ない作品です。
結局凄い作品って作者さんがどれだけ本気かですよね。
それが伝わるので書籍を買おうと思います。
本作の筆力において特筆すべきは、キャラクターの「多層的な魅力」の描き方です。
第4話のフィオナ視点の導入が実に見事。
主人公の主観では語られない「圧倒的な格の違い」や「底知れぬ知略」が、他者の日記を通して浮き彫りになる構成は、読者の知的好奇心を強く刺激します。
セリフの一つ一つに意図が込められており、特に横領をリークしてからの救済ムーブは、悪役としての外道さと転生者としての慈愛が完璧に融合していました。
単なる「俺TUEEE」に留まらない、情報の非対称性を利用したドラマ構築。
作者様のプロットの緻密さと、キャラクターへの深い愛を感じる傑作です。
この「謙虚堅実」という名の狂気的なストイックさが、今後どう世界を塗り替えていくのか目が離せません。
ゲーム世界の怠惰で傲慢な悪役貴族ホロウに転生してしまった主人公が、待ち受ける死亡ルートを回避するため、地道な努力を重ねながら運命に立ち向かっていく異世界転生ファンタジーです。
身体能力、魔力、知性、さらには権力まで備えた恵まれた境遇にありながら、それに甘えず、堅実に努力して自分の人生を掴み取っていくホロウの姿に感服します。
普段の言動はあくまで傲慢な悪役貴族そのものなのに、領民にはさりげなく慈悲を与え、同級生には懐の深さを見せるなど、キャラを崩さずに周囲の信頼を少しずつ集めて運命を変えていく過程が面白いです。
放置すれば大きな災厄につながるイベントにも裏から介入し、悪の勢力を削ぎ、違法な実験を止め、本来なら救われない人々を助けていく。表では尊大な貴族、裏では誠実な善人というギャップが、ダークヒーローみたいで魅力的なんですよ。
そして運命に縛られているのはホロウだけではありません。多くの人々が定められた死亡ルートに苦しんでいる。そんな理不尽なシナリオを力技で打ち破って、まとめて救っていく展開が痛快です。
「自分の人生は、自分の力で切り開くもの」という強い覚悟に揺さぶられる。将来のため、日夜頑張っている人々に勧めたい一作です。
(謙虚に堅実に努力する悪役貴族4選/文=愛咲優詩)