陸という少年は、ある日、磯で人魚を見つけた。少年は彼を「くじらもどき」と呼ぶことにした。学校にも家にも感じる少年の居場所のなさが、せつせつと胸をうちます。くじらもどき、同級生、従兄弟、家族、そしてイタル。変わる関係、それでも変わらない関係、出会いと別れのなか、少年は成長していくのですが――。海という大きく底知れないものと、少年のどうにもならない気持ちに心を揺さぶられます。それでも人は生きる。なぜという理由さえなく。そんなもの悲しさと強さを感じる物語です。
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