概要
彼の歌は魔法だった。歌えば、どんな感情だって、どんな情景だって、表現できるのだ。
彼は、その声にすがる。歌うことで、世界と繋がろうと足掻く。その唯一無二の歌声はインターネットの海原から見出され、瞬く間に日本中に知れ渡る。
彼は何を望んだのか。名誉?栄光?巨万の富?どれでもない。ただ彼は、「ありのままの自分」でいたかった。しかし、そのためには歌い続けるしかなかったのだ。
16歳の少年の苦悩。才能と呪い。他者との分かり合え
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!BPM180で、物語(ナラティブ)を超えてゆけ。
このレビューは、最終回のひとつ手前まで読んだ段階で書いています。
全部読み終えたあとにまとめた方がいい気もするのですが、熱が残っているうちに残しておきます。
既に素晴らしいレビューが数多くある作品なので、改めて何かを言うのは野暮かもしれません。けれど、端正な文章で紡がれる「選ばれてしまった」側の少年が辿る軌跡には、触れておきたいと思いました。
ここに書かれているのは決して気持ちがいいばかりの成功譚ではなく、ときに目を背けたくなるひどく醜いものや、どうしようもない現実です。それでも主人公の優くんは、痛いくらいのひたむきさで現実と向き合っていくことを選ぶ。その選択が、読み手側にもまっすぐ刺さっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!手の中の何かを失っても、いつしか取り戻せる。
青年は声変わりで少年時代の声を失いますが、優は反対に、青年になる未来を失いました。代わりに得られたものが、この高い少年のままの素晴らしい歌声だったのだと気づきます。
しかし失ったものは不遇な出来事で大きくなっていきます。
それでも、やっと取り戻したのが少年の枠に押し込められていた一人の人間だったのではと思います。
彼が歌う姿は、全身全霊そのもの。曲の物語に入り込み、聞く人の五感を揺さぶるのが切々と伝わってきます。歌う描写を読んでいるとその中に惹き込まれそうになります。
この感動を分かち合いたいのですが読み友もいないので、皆様に読んでくださいと言うしかありません。
読んでみて、感じてみてく…続きを読む - ★★★ Excellent!!!思春期の脆さごと抱えて歌う。読んでるのに聴こえてくる令和のカストラート
『カストラート=少年期の声を保ったまま歌う男性歌手』という題材を、令和の今にスッと落とし込んだのがこの『令和のカストラート』。まずその発想がさすがだと思います!
思春期のひたむきさとか、痛いほどの繊細さがすごくリアルです。登場人物の感情がちゃんと“生きてる”から、読んでるこっちまで苦しくなるくらい入り込んじゃいます。
でも、その苦しさを抱えたまま少しずつ前に進んで成長していく姿が本当に良くて…気づいたら胸が熱くなってました。
あと、歌う場面の描写が圧巻です。音が聴こえてきそうなくらい情景が浮かんで、心がぐっと揺さぶられました。作者さんが「歌に関わる経験がある」ってコメントされてい…続きを読む