この動物園には、夜だけのルールがある

「この動物園には、夜になると“不思議な力”を持つ動物たちがいる。」

新米飼育員・大澤ゆりあは、夜の見回り中に不可解な出来事を目にする。
「鍵を閉めたはずの檻が開いていた」「誰もいないのに足音が聞こえる」「オウムが、聞いたことのない誰かの言葉を話す」――。
それは、昼間には決して起こらない奇妙な現象だった。

園長は「気にしすぎだ」と笑うが、動物たちの様子は何かを伝えたがっているように見えた。
そして、ゆりあは気づく。「この動物園の動物たちは、夜になると特別な力を発揮しているのでは？」

動物たちは、何かを見ている。
何かを探している。
彼らが持つ力は、偶然ではない――。

次々と起こる不思議な出来事を追ううちに、ゆりあはやがて“この動物園に隠された秘密”へと導かれていく。
これは、夜にだけ開かれる「動物たちの記憶」を巡る物語。