ペンギン編 第2話:水面に映る影

 ◆夜の水辺に広がる波紋


 ペンギンたちは、静かに水辺へと歩いていく。

 彼らの足音が、夜の静寂の中にかすかに響いた。


 ——まるで、"何か"を確かめるように。


「クック……"夜の探しもの"……」


 オウムが、小さく囁いた。


「探しもの……?」


 ゆりあは、ペンギンたちの視線を追った。

 彼らの目は、水面をじっと見つめている。


 月の光が反射し、波紋が広がる。


「……君たち、水の中に何かあるの?」


 その瞬間——


 ——ピチャッ。


 小さな波紋が広がった。


 そして——


 水面に"何か"が映った。



 ◆夜にだけ現れる「影」


 ゆりあの目が、水面に映る"それ"を捉えた。


「……え?」


 水の中に、もう一羽のペンギンの姿が映っていた。


 けれど——


 その場所には、誰もいないはずだった。


「クック……夜だけ……見える……」


 オウムの囁きが、夜風の中に消えていく。


 ゆりあの胸が、ドクンと跳ねた。


 "夜にだけ見えるペンギン"——?


 それとも——"消えた何か"?



 ◆水に映る「いないはずのペンギン」


 ペンギンたちは、水面をじっと見つめ続けていた。


「キュルル……キュッ……」


 その鳴き声は、どこか切なく、懐かしさを感じさせた。


 ——もしかして、ペンギンたちは、この影を探しているの?


 ゆりあは、そっと水面に手を伸ばした。


 しかし——


「……!」


 影は、ゆらゆらと揺れながら、ゆっくりと消えていった。


「待って……!」


 ——もう一度、見えるかもしれない。


 そう思った瞬間、ペンギンたちが小さく羽を広げた。


「キュルル……」


「……君たち、この影のことを知ってるの?」


 ゆりあが尋ねると、ペンギンたちは静かに首を傾げた。


 まるで、「知っている」と言いたげに——。


「クック……夜の残響……」


 オウムが、小さな声で囁く。


「夜の残響……?」


 ゆりあの頭の中で、さまざまな疑問が渦巻く。


 ——この影は、何なのか?

 ——ペンギンたちは、何を探しているのか?


 そして——


 "夜だけ見える"という意味とは?



 ◆謎が深まる夜


 ゆりあは、水面をじっと見つめた。


 ペンギンたちは、もう一度、小さく鳴いた。


「キュル……キュッ……」


 彼らは、まるで「まだ終わっていない」と言いたげに、水面に視線を向け続けている。


「……まだ何かあるの?」


 ゆりあは、ゆっくりと立ち上がる。


 この影の正体を突き止めるために、もっと情報を集めなければならない。


「クック……"過去"を探して……」


 オウムの言葉に、ゆりあはハッとする。


「過去……?」


 ——何か、手がかりがあるはず。


 ペンギンたちが「夜だけ」探している理由。

 水面に映った"影"の存在。


 その答えは、過去の記録にあるかもしれない——。


 ゆりあは、もう一度ペンギンたちを見つめた。


 彼らの目には、確かに"何か"が映っていた。


 それは、まだ見えていない"真実"。


「……明日、調べてみる。」


 そう決意し、ゆりあは静かにペンギンたちに微笑んだ。


 ペンギンたちは、小さく鳴いて、夜空を見上げた。


 ——まるで、「ありがとう」と言うように。


 To be continued…

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