「円城塔賞 未知」を含む小説

僕たちの体は、優しい闇の中に漂っていた。 僕たちの体にはそれぞれ数字があり、順番が来ると「指定された穴」に潜らなければいけない。穴はトンネルにつながっているらしい。 そして、時…

慶長5年（1600年）、関ヶ原の戦いの年――徳川家康の東軍と石田三成の西軍がならび立ち、誰もがこれからどうなるか未知というこの年に、加賀の前田利長は東軍についた。利長は加賀南部及…

調香師の私はいつも新鮮な閃きを求めていた。 熱心に新しい香りを探求しているのは、私が競争の激しい業界で生き残るためでもある。 写真展のギャラリーで、私が知らない香りを持つ少女「…

神様は残酷だ。 キラキラを女の子たちみんなには平等に分けてはくれなかった。私、佐伯小春も、キラキラをもらえなかった方の女の子だ。 そんな私の前に、すんごく綺麗な女の子が現れた。未…

　時は三十六世紀。宇宙進出を果たした人類は、終わりの見えない異星人との戦争を繰り広げていた。 　様々な兵器が無効化されていく中、偶然発見された武器。それは短歌だった。 　いま…

　髙﨑颯真は名前のない答案用紙を拾った。 　それは数学の先生が三者面談に備えて出したサービス問題。 「17番目の素数を答えよ」 　その答案には「57」と書かれていた。 　…

馬締仁生（まじめにいきる）32歳童貞非モテ彼女いない歴年齢。真面目だけが取り柄の俺が会社のマドンナにデートに誘われた！　信じられない気持ちだが嬉々として準備をした俺。 そしてデー…

東京郊外にある一軒家で老夫婦の死体が発見された。損傷は激しく、死体のあちこちに獣のものと思われる噛み痕が残されていた。部屋の神棚が崩れ落ちており、供え物も食い荒らされている状態だ…

高度なAIが医療現場で使われる近未来。 先天性の指定難病「全身接触性疼痛肥大神経症」により、病室から一歩も出られない少女ミナモは、実体のない「医療・生活支援用AI」アリアとの交流…

――いままでの乙女ゲームが物足りなくなった乙女たちへ贈る究極の乙女ゲーム（運営コメント）―― そんな激ムズ乙女ゲームに転生した結果、ゲーム開始前に死ぬはずだった回想モブ令嬢が生…

特に人気もないんだけど桃子の趣味で書いています。 短編「大家キリコの秘密の依頼」に出てきた縁戸津不動産。 短編「縁戸津不動産です！　いい物件ありますよ？」 「縁戸津不動産」シリー…

私の恋人は宇宙人だ。 出会いは昨年の冬。近所の公園。ブランコの鎖がきしきしと悲鳴を上げ、風花が舞うひどく冷え込んだ日。 よれよれのタンクトップと短パンでしゃがみ込み、真剣な顔で砂…

花のお江戸の暑い盛りに、未吉という若い大工が仕事帰りに歩いていると、じいさんが道端に茣蓙を敷いて、その上に骨董品を広げておりました。 カクヨムコンテスト11【短編】：円城塔賞応…

貴族の少年シュミセルは、龍の鱗を剥ぐ現場を体験したいと願い渓谷に赴く。空狩人のレオムとともに裂空鳥に跨り、未知の冒険へと飛び出す。龍の鱗は、美味なるスープの原料として晩餐会で欠か…

　私と貴子は日頃のストレスを発散するために山へドライブに。 　季節は八月。新卒一年目で迎えた初めての長期休暇。 　国道を走る車はやがてあるトンネルへと差し掛かる。 　カクヨ…

「ニドラ」。サンスクリット語で、「眠り」の意。 夏の暑い日。私は、雇用主に言われた場所に、鑑定人として向かっていた。 私たちが扱うもの。 それは、まだ誰にも知られていない、未…

ある朝、ふと胸をよぎった“誰かを好きだった”という感情。 スマホにも記録はなく、何一つ思い出せない。 けれど、本棚の奥に眠っていた一冊の本と、 そこに挟まれていたしおりが ――…

裸電球が一つぶら下がった部屋で、『おれ』と『相手』は向き合っていた。 でも、一つ違うのは、『おれ』は『相手』のすべてを知っていること――！ 極限状態の中で、相手を丸裸にしていく…

　もう少しで25歳の誕生日を迎える僕の元に、とんでもないものが届いてしまった。 果たしてその中身とは？ カクヨムコン11お題フェス 第1回お題【未知】参加作品です 3,000文…

僕の大好きなじいちゃんは、最後の北京原人だ。