アーシェ渓谷に、ある馬車がやってきた。麗しい毛並みの白馬、金細工をあしらった幌。それは、荒涼としたアーシェ渓谷には似つかわしくなかった。
馬車から降りてきたのは、シュミセル・リンクスという貴族の少年。
彼は、貴族や王族の晩餐には欠かせない、『龍の鱗のスープ』に魅せられ、龍鱗剥ぎの現場を見るために、この渓谷にやって来た。
そこの村で出会ったのが、レオムという28才の男。彼は龍鱗剥ぎの空狩人であり、彼はシュミセルに鱗を剥ぐ現場を見せる——といった物語です。
凄く面白かったです。身分の差による人間の価値観を上手く書いていて、すれ違う価値観が非常に上手に書かれていました。
世界観も美しかったです。現実では見なれない単語がいくつも出てきますが、それらが作者のD野様の書く物語の魅力を増していると思います。
登場人物の身分を上手く使って、ここまで素晴らしい物語を書くのはすごいと思いました。始まりから終わりにかけて、ずっとその身分の違いが徹底して描写されているように思います。私に凄く刺さりました。
人間の心情や価値観が上手く書かれた作品を読みたい人、必見です!
ぜひ、ぜひご一読ください!
アーシェ溪谷。
その近くには龍が住んでいるという。
そんな場所に、ある貴族の少年が馬車に乗ってやってくる。
彼の名はシュミセル・リンクス。
この場所には、龍鱗剥ぎの現場をこの目で見題材にということで、訪れていた。
シュミセルは龍鱗剥ぎの空狩人であるレオムと供に裂空鳥に乗って空を飛ぶ。
そこで彼が体験する非日常の数々。
シュミセルは屋敷に帰ると、レオムに向けて手紙を送った。しかしなかなか返事がこない。季節が一つ巡ってようやく手紙が送られてきたのだけど、その内容は……
……ここから先はあなたの目で確かめるべきでしょう。
と言いつつ、手紙の内容について少しだけ触れると、おそらくシュミセルにとって衝撃を受けるようなことがそこに書かれていたんじゃないかと思いました。
シュミセルとレオムは身分に大きな隔たりがある。その乖離はお互いの状況に対する相互不理解を生んでいるように感じますが、いつかその残酷な差違が小さくなればいいなと、本作を読んで思いました。
丁寧な文章で紡がれていて、設定や世界観もよく作り込まれている、美しいファンタジー作品でした。とてもオススメです。