概要
おじさんといることで気付いた、自分の中にある未知の痛み。
私の恋人は宇宙人だ。
出会いは昨年の冬。近所の公園。ブランコの鎖がきしきしと悲鳴を上げ、風花が舞うひどく冷え込んだ日。
よれよれのタンクトップと短パンでしゃがみ込み、真剣な顔で砂山をこしらえているおじさんがいた。
出会いは昨年の冬。近所の公園。ブランコの鎖がきしきしと悲鳴を上げ、風花が舞うひどく冷え込んだ日。
よれよれのタンクトップと短パンでしゃがみ込み、真剣な顔で砂山をこしらえているおじさんがいた。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!宇宙人と名乗るおじさん。流され続ける「私」の日々に彼は何をもたらすの?
痛みもあるけれどあたたかい。そんな不思議な魅力のある作品でした。
主人公は、「宇宙人の恋人がいる」と反芻する。
それは公園で出会った汚いおじさん。タンクトップ姿で過ごし、いくら丼を食べる時はねちゃねちゃと汚らしく食べる。
でも、そんなおじさんと一緒にいる時間に不思議と安らぎを覚えている。
主人公である「彼女」は「人間として生きる」のが下手らしく、これまで体目当ての男たちと何人も付き合い、妊娠してはその子供を堕胎するようなことも続けてきた。そしてそれを悪いとも変だとも考えて来なかった。
そんな彼女だったが「おじさん」と出会って一緒にいくら丼を食べることで、少しずつ「何か」が満…続きを読む - ★★★ Excellent!!!心が輝いていればどこだって星々が煌めく宇宙になる
主人公はある日、よれよれのタンクトップと短パンという姿のおじさんと公園で出会う。
彼は頂点に小枝が挿さった砂山を作ると、それを宇宙基地だと言う。
ずっと孤独に生きてきて、あまり笑わなかった主人公はそんな子供っぽいおじさんを見て、久しぶりに笑う。
彼女はそんな彼に惹かれ、二人はやがて付き合うことになる。
二人はまるで小さな子供がそうするように、かくれんぼをしたり、缶蹴りをしたりする。
世間ではこの二人はおそらく幸せな存在として扱われていない。
哀れな人たちとして見られている可能性が高い。
しかし、そんな二人の目は汚れを知らない子供たちのように輝いている。
そしてそん…続きを読む