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そんなわけで、第十四話「麗しの蒼城」です。
「前回の引きは何だったんだ!?」
あー聞こえない、聞こえませんw
以下は今後も本文には登場しない、いわば裏設定です。
エイナと小夜は、確かに同じ黒髪で濃い褐色の瞳をしています。
ただ、エイナは彫りが浅いあっさり顔(「テルマエロマエ」でいう平たい顔)ですが、やっぱり二人は人種が違います。
もう骨格自体が別物なんですね。
ですから小夜が「エイナにも自分たちと同じ血が流れているのかも?」と言っても、お互いに冗談としか思っていません。
ところが、実は小夜の推測は当たっていて、アデリナの実家の祖先は東大陸の出身者なのです。
東大陸ではかつて統一王朝が存在していました。
各国に一文字の名をつけ(羅の国もそのひとつ)、国司を置いて治めさせました。
その王朝が崩壊し、各国に赴任した国司の多くは、その土地に根づいてそれぞれの王となります。
彼らには、滅んだとはいえ王朝の権威が背後にあり、正当な王として自他ともに認められていました。
しかし、それら国王がすべて統治と軍事に優れていたかと言えば、別の話です。
無能な王を戴いた国は、他国の侵略を受けたり、有能な部下がクーデターを起こして国を簒奪されたりします。
日本でいえば、ちょうど室町期の守護大名が、新興の戦国大名に取って替わられたような感じです。
某国でも他国の侵攻に遭い、王の無能のせいで軍が崩壊し、全軍敗走の事態となりました。
幸いにも、勇猛で知られた武将が殿軍(しんがり)を務め、どうにか王を逃がすことには成功しました。
敵を一時的に押し返し、王に追いついてきた武将に対し、王は自軍の兵たちの弱さを口汚く罵ります。
多くの部下を犠牲にした武将は激怒し、周囲の制止を振り切って王を切って捨てます。
武将はわずかに残った腹心たちとともに、その場から立ち去りますが、その際に王家の象徴とされる宝剣を奪い去りました。
武将は海を目指して西へと逃れ、追手を振り切るため、数人に減った部下とともに海へと漕ぎだします。
船乗りでもないのに、まともな航海ができるはずもなく、嵐に遭った船はたちまち遭難し、西の大陸に漂着しました。
この時、生き残ったのは武将ただひとりでした。
武将は紆余曲折を経て、ひたすら西に向かい続け、ようやく文明的な国にたどり着きました。
彼はそこに土着することを決め、始めこそ野盗のような存在でしたが、たちまちひとかどの豪族に成り上がり、やがて国王に帰順して数々の武功を上げ、爵位まで手に入れます。
これがアデリナの実家の始祖なのですが、武将が東大陸人だとはいえ、その血は世代を経るごとに薄れていき、ほとんど周囲と見分けがつかなくなりました。
ただ、不思議なことに女子にだけは黒髪と切れ長の目という人種的特徴が現れ、それは数百年を経たアデリナやエイナにも遺伝しています。
つまり、アデリナが持っていた刀は、主君を殺して奪ったもので、初代の武将はそれを使いこなしていたのですが、その子孫からは抜ける者が現れず、ただ後ろめたい家宝として伝来したというわけです。
さて、次回も小夜とシド、そしてタケミカヅチの対面が続きます。どうかお楽しみに!