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【魔導士物語】第二十六話「夜来香(イエライシャン)」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/822139837109289471

そんなわけで、第二十六話です。

本文でも説明がありますが、夜来香(イエライシャン)は花の名前で、夜になると香りが強まるという特徴を持っています。
甘く濃厚な香りがするので、香水としても利用されています。
漢字では夜来香と書きますが、日本でも中国読みのイエライシャンですし、英語でも同様です。
夜になると強く香るので、どうしても男女の逢瀬を連想させるので、女衒がまとう香りとしては、とてもよい選択だと思います。

そういう艶っぽい花ですから、古くから詩や音楽の題材として、よく取り上げられています。
日本では(というより、中国では)、1944年に李香蘭(山口淑子)が歌った「夜来香」が非常に有名ですね。

だいぶ以前のことですが、サントリー烏龍茶のCMで、日本の歌謡曲などを中国語で歌うシリーズが人気を博しました。
それを集めた「chai」(正式には『烏龍歌集【チャイ】サントリーウーロン茶CMソングコレクション』)というCDがヒットして、私のお気に入りでもあります。
この続編「chaichai」の中に「夜来香」が収録されていています。

話が逸れてしまいましたw

ハンナが父親を説得できたのは、彼女の強い意志と高級娼館の好待遇が大きく影響しましたが、そのほかの要素もあります。
ハンメルはハンナの契約に村が協力すれば、今年度の年貢(税)の一割相当を負担すると約束しました。
帝国の年貢は現金ではなく、物納でも構わないのですが、その場合は市場価格より割安な法定相場で計算され、しかも輸送費や検査費、倉庫料などが差し引かれます。
それならば、どの村も現金で納めそうなものですが、村にはそれだけの現金がありません。

これは農産物を買い付ける業者が、後払いシステムを採っているせいです。
農産物は相場によって値段が大きく上下します。豊作なら単価が下がるし、逆に不作だと上がるのが当然です。
ただし、作況からある程度予測ができても、どうしても実際価格とはずれが出ます。
そのため、業者と農家はお互いの損得をなくすために、後払いで契約するのです。

もちろん、先払いを申し入れることはできますが、その場合は大幅に安く買い叩かれるので、よほど現金に困っていない限り先払いにする馬鹿はいません。
ですから年貢の納入の時点では、まだお金が入っておらず、有利な現金払いができないという事情ですね。

もちろん、資金に余裕のある大地主は、当然のように現金払いを選択しますから、貧富の差は必然的に広がっていくことになります。
農地の集積がいかに大切かということが分かりますね。

さて、最後のアデリナのセリフは不穏なものでした。
果たしてハンメルの正体とは?(魔王を倒した青髪イケメン勇者ではありません)
次回をお楽しみに!

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