https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/822139839214724443そんなわけで、第三十七話です。
今回に限らず、以前に一回説明したことを、もう一度繰り返すことがよくあります。
長い物語ですから、一気読みする人(結構いるんですよねw)を除き、ずっと前の章のことは記憶が曖昧になっています。
そこで、わざわざ読み返す手間を省くため、あえてやっているのです。
今回は、アデリナが帝国南部を逃れて王国に亡命し、辺境の開拓村でエイナを生み、そしてニコルの死後、行方不明になるまでの事情がそれに当たります。
ただし、まるきり同じというわけではなく、話者が変わっているので、新たな事実も含まれています。
まず、アデリナが伐採の事故現場に駆けつけた時、すぐに吸血鬼、恐らくはベラスケスの眷属の仕業だと気づいたことです。
今までは、いつそれに気づいたかが、はっきり説明されていませんでした。
もうひとつは、アデリナが失踪したのは、夫の死後、数か月経ってからのことですが、エイナの身に危険が迫っているのに、なぜぐずぐずしていたかの理由です。
ダンピールが一代雑種で生殖能力がないことは、吸血鬼にとって常識でしたから、ベラスケスの配下は、アデリナが子を産んでいるとは、まったく予想していませんでした。
吸血鬼がアデリナに近づきすぎると、すぐに察知されてしまうので、彼らは遠くから監視することしかできません。
アデリナの側に女の子がいても、それが彼女の実子だとは思わないので、ある程度時間的な余裕があったということです。
そしてその間に、あまり評判のよくなかったアイリとゴーチェに目をつけ、彼女たちの弱味を探り出して上で、脅していたのです。
もちろん脅すだけではなく、ゴーチェの借金を肩代わりするという、懐柔策もちらつかせていました。
アイリとニコル(村ではエリクと名乗っていた)が兄・妹の関係だという話も、当然ながらでっち上げです。
アデリナの失踪後、肝煎がエイナの扱いに困っていた時に、アイリが「実は……」と名乗り出て、初めて明らかとなったのです。
エイナは母の話を聞いて、「ユニさんの話とあまり変わらない」と思い、少しがっかりしていました。
彼女としては、両親の結婚に関する、もっとロマンチックな話を期待していたのです。
ところが、アデリナとニコルは正式な結婚をしておらず、式も挙げていないのですw
さて、次回こそは舞台がベラスケスの館に移るはずです、多分きっと話も進む……といいなぁ(遠い目)。
そんなわけで、どうかお楽しみに。