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【魔導士物語】第四十四話「報告」を掲載しました

https://kakuyomu.jp/works/16817330649026392153/episodes/822139840675540593

そんなわけで、第四十四話です。

今回はエイナが帝国側のお偉いさんに報告をするというお話です。
魔導総監という用語が出てきますが、これは帝国でも、割りと最近設けられた役職です。
魔導士は軍に組み入れられた時点から、特殊な兵科でした。
彼らは「魔導師団」に所属しましたが、実戦においては大隊規模にひとりの割合で派遣され、その大隊の指揮下に入りました。
ただし、師団本部からの命令があれば、そちらが優先されます。

つまり、魔導師団は実戦部隊としての実態がないのに、絶大な権力を有していたことになります。
最初はひとつだけだった師団は、魔導士の増加とともに、第一師団、第二師団と増加していき、最終的には第三師団まで増え、さらに膨れ上がっていきました。
同じ部隊内で指揮系統が分かれるのはよいことではなく、また師団の数が増えると、それを統合して指揮をする上位部署が必要になってきます。
そのため、約十年前に魔導師団は解体され、各魔導士は正式に派遣先の部隊の指揮下に入ることになりました。
その代わりに誕生したのが「魔導総監部」で、魔導士全体の管理・監督をすることになりました。
ガーランドはその二代目総監で(初代は第一魔導士団長であった、クルスト中将〈総監就任時に大将に昇進〉)、マグス大佐が頭が上がらない先輩のひとりです。

ガーランドの秘書官は、速記の技術も持っている、かなり有能な人物です(名前は不明)。
現在はボイスレコーダーなんかがありますから、速記は過去の遺物のように思えますが、いまだに国会(衆議院)では速記が取られています。
参議院では2023年に廃止され、それなりに話題になりました。
私の少年時代には、よく雑誌や新聞に「早稲田式速記」の通信教育講座の広告が載っていたものです。

速記は記号や符号だけで構成されていますから、一種の表音文字だといえます。
つまり、漢字のような表意文字が存在しませんから、録音と同じで文字起こしは相当大変だと思います。
「サイトウシ」と速記しても、文脈上で人物名だと判断できても、それが「斎藤氏」か「斉藤氏」、あるいは「齋藤氏」か、まったく区別ができません。
よくある「きしゃのきしゃがきしゃできしゃした(貴社の記者が汽車で帰社した)」問題ですね。

エイナも若い女性ですから、帝都を見物したり、お土産を買いたかったでしょうが、帝国が許すはずがありません。
ちょっと可愛そうw

そんなわけで、次回は再びマグス大佐が登場します。どうかお楽しみに。

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