概要
笑わせ、祟り、そして化かす──狸はまだ生きている。
本書『現代狸風説考──人と異界のあいだに棲むもの』は、著者・小境震え氏がライフワークのひとつとして十数年にわたり重ねてきた取材記録をもとに編まれたものである。
小境氏は学生時代からオカルトや郷土史に関心を抱き、同人誌の制作や小規模な雑誌寄稿を通じて、細々と怪異譚を収集してきた。定職に就くことなく各地を転々とする中で、郷土資料館の片隅や祭礼の場、居酒屋の席や寄合いといった「声が漏れ出す場」で、人々から狸にまつわる体験談を丹念に聞き書きしてきたのである。
取材時の姿もまた印象的だ。氏はいつも、狸の絵柄やシルエットが描かれたTシャツやキーホルダーなど、どこかに狸のモチーフを忍ばせており、さらに『阿波の狸の話』(笠井新也著)をポケットから取り出してテーブルの隅に置く。これらは話の糸口にな
小境氏は学生時代からオカルトや郷土史に関心を抱き、同人誌の制作や小規模な雑誌寄稿を通じて、細々と怪異譚を収集してきた。定職に就くことなく各地を転々とする中で、郷土資料館の片隅や祭礼の場、居酒屋の席や寄合いといった「声が漏れ出す場」で、人々から狸にまつわる体験談を丹念に聞き書きしてきたのである。
取材時の姿もまた印象的だ。氏はいつも、狸の絵柄やシルエットが描かれたTシャツやキーホルダーなど、どこかに狸のモチーフを忍ばせており、さらに『阿波の狸の話』(笠井新也著)をポケットから取り出してテーブルの隅に置く。これらは話の糸口にな
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!読んだ側から化かされる…かも知れない!
これはまさに民俗学的な価値のある論文
『狸』考であり、綿密な調査と分析により
土地で語られる『狸』に纏わる民話や
言伝え、更には日本全国の『狸』分布から
考察される趨勢や派生、はた又
地方から都会への『狸』の変遷、そして
言い伝えや噂の進化系としての
ITテクノロジーに於ける
『狸』の凱旋…。
微に入り細を穿つ調査と分析、更に
『狸』とは何かを考え問いかけるこの
【現代狸風説考】とは。
物凄く興味深い著書ではあるが。
まさかの創作なのかも。
そこがまさに『狸』
創作であれ論文であれ、日本に昔からある
お化けや妖怪の話や現代の都市伝説まで
鮮やかに網羅する…続きを読む