死にゆく僕が君に遺すもの

昭和五十年代の夏。
事故で片目を失った青年・秀は、街の片隅でひっそりと生きていた。
無愛想で、人との距離を置き、ただ日々をやり過ごす――そんな彼の前に現れたのは、
生まれつき膝から下がない少女・愛里。

窓越しに交わす何気ない会話。
時に笑い、時に反発し合いながら、二人の距離は少しずつ近づいていく。

しかし、過去の傷は簡単には消えない。
「守る」と決めたその瞬間から、秀は抗えない運命へと足を踏み入れていく。
そこには、失われた友の影、埋もれた真実、そして――消せない罪があった。

これは、
傷だらけの青年と、足りないものを抱えて生きる少女が、
互いにとっての「救い」になるまでの物語。

切なくも温かい、昭和の片隅の恋と赦しの物語。