同行人チコル〜かつて勇者と呼ばれた者を見届けるまで〜

「私にこんな大役が務まるとは思えません！」
勇者によって魔王は倒され、世界は平和になった——はずだった。
城下町で薬屋を営む魔道士・チコルは、ある日突然王宮に召し出される。
下された王命は「勇者シモ・ハスラーの『二度目の旅』に同行せよ」という、にわかに信じ難いもの。
そしてチコルの前に現れたシモは杖にすがり、痩せ細った体で儚げに微笑む、変わり果てた姿だった。
彼はなぜ弱っているのか、何を求め旅に出るのか。
多くの謎を抱えたまま、チコルは「見届ける役」として旅に同行する。だが、道中シモが再会を喜ぶ「かつての仲間」たちは、チコルの想像を遥かに超えていた。
アルビノだが肥満気味の吸血鬼。
俊敏で圧倒的な強さを誇るが、月に怯える人狼。
あまりにも一癖も二癖もある仲間たちと共に、チコルは英雄の知られざ…続きを読む