「​円城塔賞」を含む小説

性描写があり、人が死に、ボートレースが始まります。

「ねぇ、宇宙の外側って何があると思う？」彼女が小声で言った。 「わからないけど、無があるんじゃない」僕は、見上げた空に浮かんだ「こと座」を見つめながら答えた。 「よく、そう言われ…

未来の地球はユートピアでもあり、ディストピアでもあった。人類の未来形である「私」は、宇宙に追放され、地球から遠ざかっているが…… ※速度の記述を変更しました（2025.8.13…

「なあ、神様はサイコロを振らないって知ってるか」 隣の席の兆司くんにそんな問いかけをされる円香。 一般的な話を返すと、兆司くんは得意げに話し始める―― ネタバレ厳禁、最後は涙が…

人工知能×創作×近未来 研究と犯罪抑止目的で全ての行動・閲覧履歴がとられる世界 息苦しさを感じる人々が求めたのは、記録が残らないオールドメディアだった。 一斉上映の映画、昔なが…

　俺の名前は天音現人(あまねげんと)。外に出たところで誰かに後頭部を殴られて入院してしまった。でも病室には俺のことを心配してくれる女の子三人と、育ててくれている義理の母。それにお…

僕は彼の『明け方の夢』の話を聞く。 二十七歳になる僕らは、忘れてしまった夢の気配に当惑しながら奇妙な関係性を維持しながら生きていく。

　ビルの構造材、トンネルや地下構造物の補強、送電塔・通信塔、鉄道のレール、自動車の骨格、船舶の船体、発電所のタービン、石油ガスプラントの配管・耐圧容器、上下水道管、貯水タンク、工…

今日は涼夏の誕生日、家に同級生の幸也がやってきた。冷蔵庫に変身しないために必要な秘伝の麦茶を幸也にあげてしまった涼夏は、変身が迫っているのに幸也と一緒にいたい。しかたなく考え出し…

「ラブレターや！」 四年二組の教室に、事件のはじまりを告げる声がひびきわたる。 浅野君がもらった不思議なラブレター。 犯人の思惑とは？

この世界の猫たちは、首に懐中時計を下げている。 そこには、生きてきた時間とともに、記憶と感情が刻まれていた。 ただひとり、他者の時計から記憶を取り出せる猫が、時計屋を営んでいる。

蒸気機関車。 SLが客車を引いて、走っている。 モクモクと黒い煙と、噴き出した汽笛の白い蒸気をたなびかせて、夜を走っている。 しかし、この列車、地上を走っていない。 空を飛んでい…

「いいかケンジ。これは『お年玉』ではない。我々の生活費を懸けた防衛戦争だ」 １月１日、午前１０時。 実家のコタツに集まったのは、昨年末の競馬で散り、財布の中身が壊滅した二人の男…

短編の純文学です。 円城塔賞のために加筆しました。

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時空を超越して夢の世界を見守る祖霊である虹色の大蛇は、深海の底で、生きる気力を失いタカアシガニの姿となってうずくまる人間の魂を見つける。虹色の大蛇はその絶望に寄り添い、せめて安ら…

二〇六五年、人類によるあらゆる情報伝達が巨大サーバー「ユートピア」に集約された未来。 心療内科医に休息を勧められた男は、霧深い高原の山小屋でスーという謎めいた少女の観察記録をつ…

洋上に取り残された、地図からも消えた廃棄海上都市。 完全無人のはずのその都市から、今も「人口：10,284名」「行動ログ更新：最新」という報告が上がり続けている。 若手研究員・…

　その通知は、赤い封筒で届いた。 『特別屍籍法』 （正式名称：個人番号制度運用特別措置法） ◉目的：行政コストの適正化および社会の新陳代謝を促進するため。 ◉罰則：期間内に応…

１月生まれの千織さんと三島さんに捧げます。 　科学技術の進歩は、人間を神に近づけなどしなかった。 　ただ、人間がいかに不潔で、欠陥だらけの有機物であるかを暴き立てただけだ。 　…