乙女ゲームの女主人公の兄なので、ちょっと僕を狙わないでもらえますか？

　日本の大学一年生だった斉木亮は、気が付くとプレイしたことのある愛シミュレーションADVゲーム「グリューンストーリア」の中にいた。
　そのゲームとは、主人公であるセレスティーヌが王立グリューン魔法学院に入学し、愛と友情を育むという内容だ。魅力溢れる攻略対象たちに囲まれて、プレイヤーは対象を選択し、好感度を上げていき、最終イベントである学園祭までに恋人になってハッピーエンドを迎えるという内容だ。
　しかし、亮が転生したのは主人公であるセレスティーヌではなく、その双子の兄であるクリスティアンの方だった。ゲーム内では主人公のサポートキャラとして、チュートリアルを示したり、攻略対象の趣味や居場所、好感度を教えたりする役割を担う。いわば脇役である。
　亮は自分の立ち位置をすぐさま理解し、妹のために日々…続きを読む