「​円城塔賞」を含む小説

書庫に、手記が落ちていた。なんとなしに拾って。――僕は、過ちを犯した。

まず彼女に振られます。

何をしても満たされず、渇きにも似た衝動を抑えることが出来ない美桜。女友達と笑っている時も、彼氏と部屋でくつろいでいる時も、幸せだと感じることは出来なかった。 ──なにかが足りな…

――黒猫が流れている。 「彼はどこへ行くのだろう？」 僕は、空をぼ～っと見上げていた。 「お教えしましょうか？」 と声をかけてきたのは三十路手前の未亡人。 どこか冷めた作家と、…

重い病気で余命わずかの 花野あかりには分かっていた。 今日、自分は死ぬのだと。

季節外れの春雪がいつまでも降り続く中、理想の恋愛を探し続ける高校一年生の物語

【本編に名前は出てこない登場人物紹介】 夜野真也《やのしんや》 主人公兼語り手。 代々続く吸血鬼の一族のお気楽お坊ちゃん。 夜野夜空《やのよぞら》 主人公の妹。 兄をからかう…

古着屋「灯衣堂」で働く店長・紬は、 “幽霊”れいちゃんとごく普通に会話している——つもりだった。 しかし日々積もる小さなズレは、思いもよらない方向へ紡がれていく。 毒舌な幽霊、ク…

　お盆の帰省で夫の田舎に来ていた、兼業主婦でAI研究者の由香里。昭和の男衆のおさんどんに明け暮れる中、一筋の光が……。 　昭和の悪弊を皮肉る、令和妻たちの、ちょっぴりSFちっく…

満井すみれは、誰もが認める「優しくていい子」。 小学校時代からの親友、二藤倫といつも一緒にいる姿が、周りの目にも微笑ましく映っていた。 しかし、二人揃って同じ高校に合格したと知ら…

ウェブ小説大賞を受賞した作家・叶夢沙織は、担当編集のアドバイスに従い、旧友たちと連絡を取ろうとする。 埋もれていた高校卒業のSNSグループへ、受賞を告げた。 再開される、懐か…

目覚めた先は2000年後の世界。そこで見つけた大切な君。世界にたった2人ぼっちの人間とヒューマノイドの物語、此処にあり。

彼女はわたしのことをルシアと呼んだ。そして、わたしは彼女と呼んだ。わたしたちの生きる世界はいつも透明な膜で隔てられている為、その先にいる彼女のことをわたしはいつも遠巻きにみていた。

私のお母さんは、家事をしない。 いつもソファで寝転がり、ポテチをつまみながらテレビを観ている。洗濯もしないし、料理も作らない。お米すら炊かない。 でもそれが当たり前だから、おかし…

無名の作家、ヤジル・ディロンはマーク卿の屋敷に招かれた。 病床に就くマーク卿の自伝を執筆するために。 日々筆を走らせながら、ディロンはやがてマーク卿の娘と恋に落ちる。 ゴシック…

【清掃ボランティア募集：管理人室までお越しください】 失業中の青年は、その貼り紙をきっかけに、 年を取らない管理人と、消えていく住人たちの 奇妙な日々に関わっていく。 カクヨ…

時の征服者。それは古代より市民に畏怖される存在（黒か茶のあれである）である。彼らはいかにして時の征服者と呼ばれるようになり、カフェインと出逢った彼らはどのような運命をたどったのか。

　フェール王国の末姫ジリエーザは、生まれつき常に泣いてばかりいる悪癖を揶揄されて、〈泣き虫姫〉と呼ばれていた。 　そんな〈泣き虫姫ジリエーザ〉には、幼き頃より胸に焦げ付いて離れな…

何気ない存在にこそ深掘りしていきたい。 そんな考えを持つ「私」は、今まで見落としていた小道に入っていく。 そして小道の先で見つけるものとは…… しょうもないダジャレを洒落た文に…

ヤングケアラーだった主人公は、恋も遠ざかったまま気がつけば32歳に。 そんな彼女が、母を看取った瞬間乙女ゲームの世界へ転生!? 破滅確定の悪役令嬢クラリスになってしまった！ ク…