概要
彼女とわたしの間には、いつも透明な膜がある。
彼女はわたしのことをルシアと呼んだ。そして、わたしは彼女と呼んだ。わたしたちの生きる世界はいつも透明な膜で隔てられている為、その先にいる彼女のことをわたしはいつも遠巻きにみていた。
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- ★★★ Excellent!!!海に浮かぶ雲
彼女が飼っているものは、犬や猫、況してや鳥といったものではなく、
なんとクラゲでした。
彼女は毎晩、泣きながらクラゲに話しかけました。
そして彼女の職業は『水商売』
なんの因果か、『水』に関係する組み合わせにございました。
店のトップである彼女は、トップを独走するものとしての人生の虚しさ、
そして、本当の幸せや温もりがわからず、眠れぬ夜を過ごしていたそうなのです。
シャーリーンという歌手の「愛はかげろうのように」を、なんとなく思い出しました。
彼女の言葉を聞きながらも、クラゲには何も直ぐことができず、ただただ手足を動かすのみ。
もし私に腕があったなら。と思う日々でした。
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