ウォズニアックのコーヒーテスト【1分で読める創作小説】
知良うらら
上等な人類
お盆の帰省で来ていた、夫
「なんだって盆正月は、
と由香里が溜息をつくと、同じく兼業主婦の紗栄子が言った。
「ほんとに……。
日々夫の世話、子供の世話、会社の仕事に明け暮れた挙句の貴重な休みを
「ところで、紗栄子さん、ウォズニアックのコーヒーテストって知ってる?」
由香里が紗栄子に尋ねた。
「聞いた事ないけど……」
「ロボットAIの性能を試すのには、コーヒーを
「コーヒーを?」
「ロボットが知らない家でコーヒーメーカーとコーヒーを探し、こぼさないでちゃんとコーヒーを淹れる事が出来たら、それは高度なAIと言える。できなければ“弱いAI(Narrow AI)”なんだってさ」
そう由香里が言うと、紗栄子は、
「おお、そう考えると、田舎の本家で良く知らない近所の人や
二人は笑い合った。
由香里と紗栄子が皿を洗いながら、そんな話で盛り上がっていると、
「おおい! 由香里さん、紗栄子さん。もう飲み過ぎて腹がくちくなって来たでのう、そろそろコーヒーが欲しいんだわ」
と居間から昭和の男衆の一人が大声で命令して来たので、やれやれと思って由香里がコーヒー粉の在りかを誰かに尋ねようとした。
その時、ガラっと台所の引き戸が開いて、由香里の夫、裕司が汚れた食器を何枚か手にして顔を出したのだった。
「聞いてたよ。コーヒーは俺が淹れる。
居間でゴロゴロしている昭和の男どもみたいな“弱いAI(Narrow AI)”になるのは、俺はごめんだからね。令和の夫は、上等な人類の方に加わらせていただく事にしたよ。
さて……と、コーヒーの粉はどこに有るのかな?」
完
ウォズニアックのコーヒーテスト【1分で読める創作小説】 知良うらら @Chira_Urara
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