概要
ならばこれも許される筈! と、以前に書いたものを引っ張り出してきました。
自由な形式のゆるい話、お手隙の時にでもいかがでしょうか……少しでもお楽しみいただければ、幸いです。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!あの料理はどのようにして生まれたか……?
いやあ、ヒトって本当、食べることが好きですよね。
「これ毒あるぜ? この間あそこの誰々が──」
「あら、毒があるならなくせばいいじゃない」
「いやこの毒どうにもならねえぜ? もうやめにした方が──」
「どうにもならねえことがあるものですか。よござんすか、この世に食えぬものなんぞねえのですよ」
いつか誰かが、こんなことを本気でやってたんじゃないかと思えるようなエッセイでした。
そこまでして食べたいか⁉︎ とも思いますが、食べたいのでしょうねぇ。
少しでもうまいものを! 少しでもうまく!
こうした好奇心と欲と知恵とで、文化が生まれる。素敵なことです。
ここから何百年と経ったら、人類は…続きを読む - ★★★ Excellent!!!命懸けの「美味しい」を探求する、知的でユーモア溢れる食のミステリー
本稿は、石川県の郷土料理「ふぐの子糠漬け」を題材に、なぜ先人たちが死のリスクを冒してまでこの禁断の味をモノにしたのかを考察した、非常にエンターテインメント性の高い食エッセイである。
著者はまず、現代科学でも完全解明されていない減毒の仕組みを提示し、読者を未知の領域へと誘う。
そこから始まる「製造工程の推測(という名の面白い予測)」のパートが秀逸だ。「河豚の卵巣を食べる → 死亡」という、あまりにも身も蓋もない失敗の積み重ねを、軽快な語りを交えてテンポよく描く手法は、残酷な歴史を笑いと興味に変えるマジックのようである。
特に鋭いのは、「飢饉説」や「偶然説」を自ら論破していく過程だ。
「そ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!毒だから食べられない? そんな摂理、人類は認めませんけど?
人は希求するのです。生と死に関わることを。
その二つは重なるほどに、人を狂おしく駆り立てるのです。
エロスとタナトスです。
だから死にギリギリ近い食べ物だって好んで食べます。
吸収できなかったり、粘膜ぶっ壊したり、代謝阻害したりする物質が人間は大好きなんです。
フグのもつ毒の毒たる卵巣。
それをわざわざ食べ物とする〝ふぐの子糠漬け〟とそれを完成させ継承している文化が本作では示されてます。
それは狂気でも間違いの結果でもない。
人の本質的な嗜好なのです。
社会学者、ロジェ・カイヨワは人の遊びの4つカテゴライズの一つに「眩暈/イリンクス」を設けました。
人はクラクラすることが大好きなの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!食いたいものも食えないこんな河豚の子じゃPOISON
言わずもがな、河豚という魚には毒があります。
中でも卵巣にはテトロドトキシンという猛毒がたっぷりと含まれ、その毒性は青酸カリの1000倍、人間なら1匹で10人の中毒死が可能といいます。(北海道庁HPより)
そんな猛毒の河豚の卵巣を調理して食べる、『ふぐの子糠漬け』なる珍味が石川県に存在します。
徹底的な塩漬けと糠漬けにより無毒化に成功していますが、そのメカニズムについてはいまだに不明であるとか。そのため、調理法についてはその“解毒成功ルート”が厳守されています。
しかしそもそも、この料理はどういう過程や歴史を経て現代に伝えられてきたのか。本エッセイではその謎について考察します。
偶…続きを読む - ★★★ Excellent!!!生存本能を超越した食欲の先に見えたのは。
本作は非常に硬派な、科学に基づいた珍味の成立過程に関する考察である。
しかし、とっつきにくそうなどという心配は無用。
今回、議論のテーマとなっているメニューは、ふぐの子糠漬けだ。
ふぐが毒を持っていること、そして美味であることは誰もが知るところであろう。
ふぐの子糠漬けは、毒のない可食部ではなく、毒性の強い卵巣部分を無害化させて作る珍味である。
ふぐの子糠漬けの成立過程を考察する作者の視点は鋭く、それでいてユーモラス。
なおかつ、食べることに対する愛と、食べるということに執念や狂気とも呼称してしまえそうなほどの愛と情熱を傾けた先人たちへの愛に満ちている。
作者が深い考察の果てに食欲の先に見た…続きを読む - ★★★ Excellent!!!究極の食わず嫌い、かもしれない
資源や食糧難問題において「解毒」「毒抜き」「無毒化」は素晴らしい文化かもしれません
昆虫食は何らかの生態系を崩す危険があります
進化や退化、生態淘汰が速い生物を人の手で弄るのはその種を絶滅させるほどの、いえ、どちらかと言えばその食物連鎖の前後に多大な影響をしかねない
肉食の生物では「生物濃縮」が起こり、ヒトに感染しなかったウイルスや寄生虫を変化と進化を起こしかねない問題がある
そういった観点から、犬、猫、猿といった食文化は流石に止めなければいけません
そういった事象と観点から考えると、手間ひまをかけて多くのモノを昇華する日本の根気と器用な手先から生まれる素晴らしい文化と価値観だと、この…続きを読む - ★★★ Excellent!!!何も考えないでスマホ見ながら ご飯食べてる貴方。読め。
近頃、住んでいる市からも
「フグの卵巣は食べないでください」
「免許のない人は調理しないでください」
「死にます」
と、注意喚起のLINEが届く季節となりました。
このエッセイは、まさにそんな話。
どこまでもどこまでも、食に対して貪欲な日本人。
え? なんでそんなん食べようとしたんよ?
と、物産展やら道の駅やら行く度に見かける品々に
過去の挑戦者の様を想像する私としては、
まさに痒い所に手が届く、
極上のエンターテインメント作品でした。
なんも考えずに、スマホ見ながらご飯食べてる人に
是非考えながら読んで欲しい作品です。
珍味の珍の字は、何も珍しい食べ物という意味じゃないんです。
「食…続きを読む - ★★★ Excellent!!!猛毒を珍味に変えた日本人、恐るべし!
フグと言えば、現代では免許を持つプロだけが調理を許される猛毒の持ち主。
しかし、石川県にはフグの中でも最も毒素が強い卵巣を、数年かけて無毒化させた「ふぐの子糠漬け」という驚天動地の珍味が存在します。
本作は、現代科学をもってしても完全には解明されていない(どうして無毒化されるのかわかっていません)「ふぐの子糠漬け」が生まれた経緯について、ユーモア溢れる妄想を交えて迫る極上のエッセイです。
何より、遠部さんは文章がめちゃくちゃ上手いんですよね。読むのが大変気持ちの良い文章を書かれます。
とっても読みやすくておもしろいエッセイを、ぜひあなたもお読みください!