概要
この記憶を引き継げる人に届きますように
「死者の最後の話を聞けるのは世界中で私ひとりだけで、もし私が彼らの話に耳を傾けなかったら、彼らの言葉や思いはどこにも残らなくなる。それはとても恐ろしいことだと思った」
広大な砂漠には常に死の危険が溢れ、人も人以外も砂漠のどこかで孤独に命を落としていく。死んだ魂は循環してやがて再び生を得るが同じ魂は二つとして存在しない。唯一無二である記憶を喪失させないためにマユワが死者の話に耳を傾け続けている。
【1. 砂鯨】
砂鯨が死んだ。砂漠を旅する青年イトの相棒だった。イトが途方に暮れていた折に砂漠で葬儀屋を営んでいるという一行が現れる。彼らはイトに砂鯨の葬儀をすることと引き換えに、砂鯨の肉や骨を貰い受けることを交渉するが――。
【1. 砂鯨(前夜)】
冥界の門の気配を受けてマユワが向かうと、そ
広大な砂漠には常に死の危険が溢れ、人も人以外も砂漠のどこかで孤独に命を落としていく。死んだ魂は循環してやがて再び生を得るが同じ魂は二つとして存在しない。唯一無二である記憶を喪失させないためにマユワが死者の話に耳を傾け続けている。
【1. 砂鯨】
砂鯨が死んだ。砂漠を旅する青年イトの相棒だった。イトが途方に暮れていた折に砂漠で葬儀屋を営んでいるという一行が現れる。彼らはイトに砂鯨の葬儀をすることと引き換えに、砂鯨の肉や骨を貰い受けることを交渉するが――。
【1. 砂鯨(前夜)】
冥界の門の気配を受けてマユワが向かうと、そ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!誰もが物語を生きている。
人生を見る、見届ける物語。
死ぬまでの、これからの、これまでの、それぞれの人生を見ていく物語です。
彼、彼女たちの人生とその描かれ方を見た時、作品世界の幻想的な描写と登場人物が時折見せる現実的な感情の動きに心が波打ちました。
これはこの作品の登場人物に対する私の勝手な考えですが、ただそこから見ていて聞いていて欲しい、そう望まれているような気がしました。
けれど、私がその内容を誰かに伝えることは望まないと思います。誰しも自分の過去を勝手に語られたくはないでしょう。
これは彼や彼女の生きた物語であり、同時に彼や彼女だけの人生である、そう感じさせられる作品です。
以下、作者様に向けて…続きを読む