個人的にはすごく懐かしい、90年代のSFロボットアニメな感じがして楽しく読ませて頂きました!
ガンダムSEEDのような切なさがありますね。
私もなろう・異世界・テンプレ、ガン無視で書いてますが、こちらの作品もそういったものを意識せず書かれている作品でした。
戦争の起こりという描写の静かに歩み寄る恐怖、みたいなものをすごく丁寧に書かれていてリアリティをちゃんと突き詰めて考えられている。
恐らく設定は作りこんでらっしゃると思うのですが、そこはあまり細かく描写せず、情景を丁寧に描写し、キャラクターたちのそれぞれの役割も明確で、ご都合主義になっておらず、スムーズに読み進めることができました。
ロボットの描写、コクピットの様子、戦闘の内容なども非常にわかりやすく、丁寧な文体で詰まることなく読めました。
技術に国家に現実の視点をより近くに感じさせる人型戦闘機の戦闘場面。それぞれの人々の物語。それらの多彩な内容で読者を引き込みながらもその側には常に問いかけがあるように感じます。
人は常日頃から自分の恩恵の裏側を見ようとすることは少ないと思います。自分一人ではどうしようもないことが実は多いのも本当だと思います。だから頭では気づいているけれど、見えないふりをしている。
主人公のナギが抱くものもその中にあるのではないかと思います。
特に兵器を売ったお金で生活が成り立つ。そこに葛藤を抱くのは、人の命の重さを無視できないからだと思います。
そして自分は他の人達と同じで、戦う場の当事者ではない。
その当事者意識が物事のやや遠い場所にある視点は、私達に更なる問いかけを投げ掛けているようにも感じられます。
ただナギ自身は無関係ではいられず、むしろ急速に悪い立場に陥ってしまう。
ある種、彼自身が世界の業全てを身に負わされたスケープゴートのようにも見えます。
その彼が自分の置かれた立場から、どう歩み何を見いだしていくのか。
私もこの重いテーマをせめて自分なりに考えていきたいと思います。
もしかしたら、主人公のナギに似た罪悪感を心の隅にこっそり抱いていると言う方がおられたなら、ただ善悪では分けきれない深みのあるこの物語、読まれてみてはいかがでしょうか。