幸せな黒猫

ある日の放課後。
屋上で1人昼寝を楽しんでいた日向 悠の前に現れたのは、クラスでも黒い噂が絶えない存在──黒井 環、通称“黒猫”だった。

どこか空虚で、心ここにあらず。
ただの偶然にしては、不自然すぎるその出会いに、悠の勘が騒ぎ出す。

翌日から彼は、彼女を気にかけはじめる。
しかし、彼の優しさはことごとく拒絶され、心の距離は一向に縮まらない。

それでも――
彼は手を差し伸べる。不器用なやり方でも、まっすぐに。

これは、少しずつ歩み寄る物語。
不器用な彼と、孤独な彼女の青春譚。