「円城塔賞」を含む小説

古文の苦手な奈穂は、家庭教師にそれをやらせようと企んでいた。 ところがやってきた家庭教師は生真面目で化粧っ気のない大学生で、奈穂の質問にも真面目そのもので返す。奈穂はなんだか苛々…

書庫に、手記が落ちていた。なんとなしに拾って。――僕は、過ちを犯した。

十八歳の朝、娘に秘密の話をする。

突然、仕事も友人も失い、生きる意味を失った「僕」は、祟りの神を自称する少女と出会う。 「僕」と少女の出会いは、お互いの孤独を埋めていくが… 全4話完結。毎日投稿です。

鎌倉時代末期、元享二年（１３２２年）初夏。得宗（執権北条家）被官（ひかん）の兵衛（ひょうえ）は、辰砂（しんしゃ。薬、赤の顔料）を売るために、六波羅探題の命を借りて渡辺党を討つ。代…

彼は、感情を持たなかった。

まず彼女に振られます。

子供の頃の勘違いというのは意外にも長く残り続けるもので、時間が経って間違いに気づいた後も無意識のうちにその勘違いを正当化しようとしてしまうらしい。今が、まさにその状態だった。 （…

無名の作家、ヤジル・ディロンはマーク卿の屋敷に招かれた。 病床に就くマーク卿の自伝を執筆するために。 日々筆を走らせながら、ディロンはやがてマーク卿の娘と恋に落ちる。 ゴシック…

京都府北部にある山の話をします。その山の看板にはこうありました。「このさき危険 立ち入り禁止。 松茸 がでます」……そんなの普通じゃないですか。松茸の何が危険だと言うのでしょうか…

対象　一升瓶 はじめてみつけたそれは、「石」「ビン」という言葉を発する。 興味深いので、自由研究の対象にしようと思う。 地球上初のそれの発見者として、名をのこしたい、そんな…

　神話は、何を語り、何を語らないのか。 　世界卵神話において、 　決定的な「破砕の瞬間」は記録されていない。 　注釈官の視点から描かれるのは、 　世界ではなく、世界を理解しよ…

命を定める。さだめ。 自分の命はそれのために燃やすべきだと、自ら選び取ったもの。 そいうものを僕たちは生まれた時から探し求めて、奇跡的に見つけたら、ボタンのように心に掛ける。 運…

致死性ウイルスにより人類の多くが死滅した世界で、ペットのロボット犬と共にひとり取り残されてしまった主婦の話。 　■　■ 一初ゆずこさん主催の『光と闇アンソロジー　狭間を旅する…

理系の常に世の常識を覆す発見は、文系の人間が統治しようと「創り出した」神の世界にとってはジャマだった。。。 ド文系の人間がリスキリングをすると、こんなことを考えるようになる。 …

重い病気で余命わずかの 花野あかりには分かっていた。 今日、自分は死ぬのだと。

彼女はわたしのことをルシアと呼んだ。そして、わたしは彼女と呼んだ。わたしたちの生きる世界はいつも透明な膜で隔てられている為、その先にいる彼女のことをわたしはいつも遠巻きにみていた。

完璧なお嬢様・二階堂美月は幽霊になった。病院の三階から出られないけれど、犯人探しならできるはず。 ところが恋人が毎日通う病室が気になって仕方ない――だって、花束の行き先は「私」じ…

サプライズニンジャ理論とサプライズ河童理論とサプライズ松尾芭蕉を戦わせました。

放送された人気番組「こんな秘境に一軒家！？」には、異常なものなど写っていなかった。異常なものなど――なにも。