概要
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一初ゆずこさん主催の『光と闇アンソロジー 狭間を旅する』(2024年9月頒布、現在絶版)に、『光』のテーマにて寄稿した作品です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!終わりかけの世界で、灯る光とは。
致死性ウィルスにより、多くの人が命を落としました。隣の家にもその先の家にも誰もいませんが、ロボット犬のロビーはいつも一緒にいてくれます。平常な日常を心がけて生活する彼女は食料を求め、家族であるロビーの汎用バッテリーを求め、変わり果てた世界を旅するように探し求めます。
生き残った人々と出会い、話し、彼女が導き出した答えとは。
淡々と語られる語り口に不気味さと寂しさを覚えながら読み進めていきました。コロナウィルスの世界を経験した身として、深く頷ける箇所が多々あります。
きっとあの世界を知らなければ、軽く流していたような軽薄さに恐ろしさも覚えました。
一話ごとに明かされる事実に静かな驚きに襲わ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最高の読後感が約束されている作品。終末の中の光
はぁ……。読んだあとに、こんなため息をつくことになるなんて。
このため息は、言葉にできないいろんな感情が空気になって出たやつです。もしこれが紙の本だったらその場で抱きしめてた。本当にこの物語を抱きしめたい。登場人物を抱きしめたい。心からそんな感情が湧くんです。
これは人類の大部分がウイルスによって滅んだ世界の物語で、主人公の視点で語られる日常の様子なのですが、繰り返しの毎日生活の中で少しずつの変化。本人には悲壮感がないのに、随所に薄く感じ取れる悲しみとか寂しさがずっと横たわっていて、何度も繰り返される「主婦でよかった」の言葉が、読者をも支えるんですよね。本当に主婦で良かった、と。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!とても優しい物語でした
タイトルの感じから、主婦あるある満載にしたコメディ寄りの作品だと思って読みました。
全然違いました。
パンデミックで家族を失い、ロボット犬とともに取り残された主婦のセンチメンタルな物語です。
「いつも通りの生活をしよう」という亡き旦那さんの言葉は、この壊れてしまった世界において、何気ない当たり前の生活が、いかに尊いものであるかを物語ります。
あらゆるものが失われ、もうあの頃の生活は二度と戻らない。
だからこそ、最後まで失ってはならないものがあり、それを教えてくれる作品でした。
いや、ロボット犬でよかった……。
これ、生身のワンちゃんだったら辛くて読めなかったよ……。 - ★★★ Excellent!!!きっと、誰しも心の中で温めている大切なものが、もっと愛おしくなる
もし、致死性ウイルスが蔓延る世界で、ただ一人取り残されてしまったら。それでも続いていく日々を、皆さんならどんなふうに過ごしますか?
大切な人に先立たれた喪失感、静かすぎる外を恐れる気持ち、重量感すら覚える孤独、自分が生き残ったことへの自責の念、消費していく一方の資源、寂しくてもお腹は空く、食料のストックはまだ大丈夫? 今後の身の振り方は、どうすれば……私なら、ありとあらゆる不安の洪水に溺れて、前を向いて歩き出すまでに、相当の時間をかけてしまうかもしれないな、と思いました。
しかし、本作の主人公である主婦は、そんな私とは意識が大きく異なります。
――どんな時でも平常心を忘れずに。いつも通りの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ささやかな日々の営みは気高い心でできている
規則正しい生活を送るためには、十分な睡眠や運動、健康な食事が欠かせません。どれかが欠けてしまえば、心身に不調をきたしてしまいます。
主人公の主婦が毎日欠かさず行っていることは、決まった時間に目覚めること。お洗濯お掃除お買い物などの家事。そしてロボット犬のロビーを散歩すること。最後の情報が近未来の世界っぽいと、歓喜されたSF好きの方もおられるでしょうか。
致死性ウイルスで日常が大きく壊れた世界。物資の供給や未知のウイルスによる不安は、メンタルに打撃を与えかねません。そのような世界で、いつも通りの生活を送ろうとする主人公。先行きの見えない中、ルーティーンを守ろうとする彼女の姿に主婦のすごさを感…続きを読む