概要
完璧なお嬢様は、死んでも完璧!
完璧なお嬢様・二階堂美月は幽霊になった。病院の三階から出られないけれど、犯人探しならできるはず。
ところが恋人が毎日通う病室が気になって仕方ない――だって、花束の行き先は「私」じゃないから。
お嬢様、探偵ごっこ開始よ。
ところが恋人が毎日通う病室が気になって仕方ない――だって、花束の行き先は「私」じゃないから。
お嬢様、探偵ごっこ開始よ。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!“お嬢様”の語り口で走り切って、最後にすとんと床が抜ける。
幽霊になったお嬢様が、病院の三階から出られないまま犯人探し――導入だけ見ると軽妙なミステリ遊戯に見えるのに、読み進めるほど“ズレ”が増えていく短編。豪奢な固有名詞やパーティーの記憶、香りや服の段取り、SNSの数字。華やかなディテールが多いのに、病院の匂いと同じ密度で並べられていて、どこか現実味が薄い。その違和感が、ちゃんと仕掛けになっている。
面白いのは、探偵役のはずの語り手が、推理の前にまず「自分」を守ろうとするところ。犯人探しが進むというより、嫉妬や執着が視界を狭めていって、病棟の廊下がだんだん檻みたいに見えてくる。恋人の花束、同じ病室、同じ時間――反復が不安を育てる書き方が効いてる。…続きを読む