概要
人間より怪異のほうが優しい世界で、社不女は生き延びられるか。
高橋文は、もう何にも期待していなかった。
暴力の家で育ち、詐欺会社に拾われ、事故物件の寮に押し込まれる。
その部屋には、母と子の地縛霊がいた。
ひなこさんは、殴られ殺された女。
たいちゃんは、包丁で顔を裂かれた子。
ふたりの「壊れた願い」は、文の空虚さと同じ匂いをしていた。
文は幽霊を怖がらない。
もう、怖がる体力が残っていない。
ひなこさんは文に母性を向け、
「この子を産みたい」と願って、神に近い何かへ変わり始める。
たいちゃんは、不器用な言葉で文を守ろうとする。
三人は家族ではない。
でも、誰もがどこへも行けないから、
壊れたまま、同じ部屋で生き続ける。
救われないのに、離れられない。
優しさと怪異が同居する、
そんな心霊ブラックユーモアラブコメディ
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