荒魂の旦那様は、最初の妻を離さない

「情は持たない」「一年で離縁する」
そう告げた夫は、唇を奪い、肌に触れながらも、決して心を開かない。
それでも彼は、術が揺らぐたびに、私を抱きしめた。

かつて許嫁を戦で失い、家からも疎まれ、ただ“売られるように”嫁がされた――
一年契約の「巫女妻」として、封印を司る斎部家に。
そこは、妻の命を代償に、荒ぶる神を封じる家系だった。


これは“祓いの契り”から始まった、命を削る一年限りの婚姻。
なのに彼は、言ったのだ。
「お前を“最後の妻”にすると決めた」と。

――これは、使い捨てにされた女が、
封じるためだけに生きてきた男と、
神すら救う“再契約”を結ぶ物語。


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