鬼、それは人を喰らう者。恐ろしき殺戮者。
しかし、ある時、青鬼蒼天は少女千草と出会う。
獲物のはずの少女の屈託の無さに戸惑い、彼は彼女を鬼の里に連れ帰ってしまう。
そこでお互いに惹かれていく二人。
人間である彼女を里に受け入れてもらうために、蒼天は絶食させられ、二人きりで閉じ込められて、飢えてもなお彼女を食べずにいられるかの刑に処せられる。
それでもお互いを想い続ける二人に周囲もまた変わり始めるのだった。
鬼は人を食べるもの。それは変わらない。
だが、鬼は悪で人は善か。そんな単純な話ではない。
蒼天と出会う前、千草を慰み者にしていた村の男たち。
彼らと千草を一途に愛する蒼天のどちらが悪だろう。
種族を超えた一途な愛と、人の、鬼の、抱える業についても考えさせる本作品、ぜひ読んでみてください。
未だかつて、こんなにも心の美しい鬼たちに出会ったことがあるでしょうか。
私は、ありません。
恋した相手へ真っ直ぐに想いを伝える姿。
相手を思いやる優しさ。
そして、鬼たちの深い仲間愛。
一人ひとりの繊細な心の描写が、容赦なく胸を射抜いてきます。
そして、作者様が描かれる欲望や恋情の表現が、本当に美しい……!
色気がありながらも決して下品ではなく、登場人物たちの想いがそのまま伝わってきて、何度も心臓を撃ち抜かれました。
鬼たちが胸の奥に秘めた想いは、あまりにも切なく、あまりにも愛おしい。
鬼でありながら、その心は人よりも誠実で、まっすぐで、美しい。
読むたびに胸が締めつけられ、ときめきが止まりません。
切なくて、温かくて、美しい恋物語を読みたい方へ、心からおすすめしたい作品です。
人を喰らう青鬼の蒼天(そうてん)は、ある日、新たな獲物として人間の少女・千草(ちぐさ)と出会います。
しかし、鬼を前にしても不思議なほど怯えず、底抜けに純真な彼女のペースにすっかり狂わされた蒼天は、喰うどころか彼女の病床の母を救い、あろうことか鬼の隠れ里へと連れ帰ってしまいます。
周囲から蔑まれて生きてきた無垢な千草と、彼女を傷つけるあらゆるものから守り抜こうとする蒼天。
決して結ばれてはならない「捕食者と獲物」という絶対的な壁や、種族の掟に葛藤しながらも、二人が少しずつ心を通わせていく姿が描かれます。
本作の最大の魅力は、恐ろしいはずの鬼が、か弱き人間の少女にすっかり絆されてしまう「圧倒的なギャップと溺愛っぷり」です!
これまで過酷な扱いを受けてきた千草が、蒼天の与える白いご飯や優しさに触れて無邪気に笑う姿は、読んでいるこちらの涙腺まで緩ませます。
そんな彼女を前に、壊さないよう恐る恐る触れ、不器用ながらも全力で愛情を注ぎ込む蒼天の姿は反則級の尊さ。
種族の禁忌や仲間の猛反対を受けてなお、「彼女を守り抜く」と覚悟を決める鬼の深い愛情に胸が熱くなります。
互いを思いやる圧倒的なピュアさに心が浄化される、全力でおすすめしたい異類婚姻ファンタジーです!