概要
真っ白でもふもふな猫型自動人形だった。
名前はソラ。
空色の瞳をした、自称「空っぽ」のロボット猫。
たい焼きに感動し、パンケーキに大はしゃぎし、
空色のベストを着て街をパトロール!
ちょっと不器用で冷めた青年ラドリーの日常は、
ソラが来てから少しずつ、にぎやかであたたかいものに変わっていく。
「ラドリー、ボク、今日も『楽しい』をいっぱい詰めるね!」
「……ほどほどにしろ」
少し不思議な未来の街で、今日もごはんはおいしい。
危険なモンスターもいるけれど、帰る場所にはあたたかい灯りがある。
これは、心を持たないはずの機械猫と、空虚を抱えた青年が、
世界の片隅で少しずつ「楽しい」を集めていく物語。
イメージイラスト
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!猫かわいい!だけでなく、哲学的と愛に満ちたディストピアSF
本作は、「機械の猫に心を与えるのは罪ですか?」というどこか物悲しくも切実な問いかけから始まるSFとなります。
序盤から派手な展開が巻き起こるわけではなく、とにかく、丁寧に、人間とAIとの間に芽生える「絆」「感情の交流」を描かれており、この「静」の感動を、堪能する作風となっております。
テーマとしては「心」であり、猫かわいい!いやしっ!といった小説に留まらず、AIや機械が感情を持つことの是非、生命の定義といった本格的なSFテーマを融合させる作者様の手腕には脱帽です。
そして、全40話という完成されたボリュームがまた素晴らしく、長すぎず、短すぎず、作品を完結に導いていることも、安心して読者…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「空っぽ」は、始まりでした。
「空っぽ」。
どこかの物語では、「僕の心は空っぽなんだ」といったように、虚しさや悲しさを表すものとして使われがちです。
けれど、AIネコのソラが語る「空っぽ」は、まったく逆の意味を持ちます。
空っぽだからこそ、できることがある。
日常のやり取りを重ねる中で、そこに何が詰められていくのか——気づけば、延々と覗き続けたくなる日常譚です。
ソラがラドリーにかける言葉はどれも魅力にあふれていて、荒廃した世界をそっと温めるだけでなく、読み進めるほどに読者の心にも静かに、しかし確かに刺さってきます。
ソラは一体どこから来たのか。ぜひ結末まで追ってみてください。
ソラという存在には、作者さまの想い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!SFという形を借りて描かれた、祈りの物語 🕊️
機械の猫・ソラが可愛いだけのほんわか作品ではありません。
油断して読むことなかれ。
この物語は、AIという存在を通して、
「心とは何か」「優しさとは何か」を静かに問いかけてきます。
第3話がキーになっており、
🐈「『空っぽ』だから、『楽しい』をいっぱい詰め込める素敵な名前なんだって。」
ソラの無邪気で、まっすぐな優しい言葉。
でも、その言葉が置かれている世界は、決して優しくありません。
その真実味が、私は好きです。
このセリフは希望でもあり、残酷な世界を映す鏡でもあります。
「心を持つAI」を創ろうと葛藤した、
ソフィア博士の祈りがそこに込められているのだと思います。
温かさと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!焦げたパンケーキと紙の魚――小さな幸せが紡ぐ世界
『猫、猫、猫!』は、ただのSFファンタジーじゃありません。心の奥に静かに語りかけてくる、やさしさと成長の物語です。
主人公ソラは記憶も目的もない猫型自動人形ですが、「空っぽ」という不安と、そこに少しずつ“楽しい”や“好き”を詰め込んでいく無垢さがとても愛おしい。冷静で不器用なラドリー、陽気なマイロと共に過ごす日々は、世界の喪失や孤独だけでなく、日常の小さな幸せや絆の積み重ねがどれほど人(や猫型ロボット)の心を満たしていくかを静かに教えてくれます。焦げたパンケーキや紙の魚といった何気ない出来事が、なぜかじんわり心に残るんです。
「空白」や「空っぽ」が不安で仕方ない人も、その“隙間”を…続きを読む