焦げたパンケーキと紙の魚――小さな幸せが紡ぐ世界

 『猫、猫、猫!』は、ただのSFファンタジーじゃありません。心の奥に静かに語りかけてくる、やさしさと成長の物語です。

 主人公ソラは記憶も目的もない猫型自動人形ですが、「空っぽ」という不安と、そこに少しずつ“楽しい”や“好き”を詰め込んでいく無垢さがとても愛おしい。冷静で不器用なラドリー、陽気なマイロと共に過ごす日々は、世界の喪失や孤独だけでなく、日常の小さな幸せや絆の積み重ねがどれほど人(や猫型ロボット)の心を満たしていくかを静かに教えてくれます。焦げたパンケーキや紙の魚といった何気ない出来事が、なぜかじんわり心に残るんです。

 「空白」や「空っぽ」が不安で仕方ない人も、その“隙間”を埋めていく希望を感じられるはず。心に傷を抱えている人、癒やしや優しさに触れたい人、機械と人間の境界やアイデンティティに興味がある人にもおすすめ。ちょっと疲れた時にこそ、そっと読んでみてほしい作品です。

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