「円城塔賞 怪異」を含む小説

東京郊外にある一軒家で老夫婦の死体が発見された。損傷は激しく、死体のあちこちに獣のものと思われる噛み痕が残されていた。部屋の神棚が崩れ落ちており、供え物も食い荒らされている状態だ…

　私と貴子は日頃のストレスを発散するために山へドライブに。 　季節は八月。新卒一年目で迎えた初めての長期休暇。 　国道を走る車はやがてあるトンネルへと差し掛かる。 　カクヨ…

裸電球が一つぶら下がった部屋で、『おれ』と『相手』は向き合っていた。 でも、一つ違うのは、『おれ』は『相手』のすべてを知っていること――！ 極限状態の中で、相手を丸裸にしていく…

レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』、あの絵を始めて見た時、なんて怖い絵なんだろう、と思った。 あの絵を見てからというもの、彼女の姿が頭から離れなくなってしまう。 ご飯を食べて…

教室にも家にも居場所のない陽平は、今日も友達に会いにプールへ向かう。友達はちょっと変わった見た目をしているけど、気のいいやつだ。けれど夏休みの終わりとともに、友達とは会えなくなっ…

卒業を機に別々の道を歩むはずだった私と咲希。 最後の思い出作りに、私たちは学校の怪異「千影様」を真似た。 それが、二人の「永遠」の始まりだった。 （本作は8月に投稿した『千影さま…

円覚寺で、不可解な怪異が起こり始めた。境内に持ち込まれた卵だけが、殻を破られることなく、中身だけを失っていく。合理主義の若き住職は、犯罪心理学者・高瀬聡子の助力を得てその謎を追う…

　俺は邪悪な存在に追われて、命がけで走り続けた。邪悪な存在が何者なのか。大抵のひとはもう気付いているだろう。だってタイトルにはっきり書いているのだから。『口裂け女』って。メタ的な…

「もしもし、わたしメリーさん」 夜ごと距離を詰めてくる怪異、メリーさん。 2センチの壁越しに触れたのは呪いか、それとも救いか。

ずっとずっと愛してる

生贄にされた少女は何を思う……。 （エブリスタにも掲載しています）

俺のせいじゃない！　俺んせいじゃない！　　 悪いのはあの人だ。だから他に方法がなかった。仕方なかった。 ──そんなものはぜんぶ言い訳だ。 何が怪異だ、クソ！　 自分は仕…

とある会社の出張報告書です。

怪異絡みの依頼を請け負う羽目になりがちな三十路の貧乏探偵。 唯一頼れる相棒は、どこか古風な祓い屋の女子高生。 今回の依頼は、失踪したOLが残した「日記」。 調べていた彼女の恋人…

鏡の中の“わたし”が消えた── 依頼人から届いたのは、その一行だけだった。 AR解析が示したのは、 鏡台の前だけに残された意図的な空白。 映らなかったのではない。 “奪われた”…

夜ごと、水が天へ昇るという奇妙な蛇口── 女中が消えた屋敷で、芥川探偵が見つけたのは、 重力を裏切る一滴と、乾きすぎた床の秘密でした。 大正の影と灯火のあいだで揺れる人の情念。…

小学５年生のしゅんは放課後、 友達とかくれ鬼をして遊んでいたが、ひとりだけ置いて みんな帰ってしまう。 置いていかれた子はなにかに憑りつかれてしまい……

ある夜。 目覚めると目の前に転がっていたのは、自分自身…… どうやら死んでしまったらしい。 おまけに、記憶も飛んでる。 俺はいったい何者なんだ？

大学生の主人公は春休みのある日を境に家出し、三日間にわたって車中泊していた。運転席で就寝中、助手席に置いたスマホから着信音が鳴り、電話の主は『メリー』を名乗る。ゴミ捨て場にいると…

「風説」……ふうせつ。ふうぜつとも。根拠のない噂話。世間に広まっている噂のこと。