「円城塔賞 文学」を含む小説

藤木絹子は世界から浮いている。そして世界は息苦しい――。

「ねぇ、宇宙の外側って何があると思う？」彼女が小声で言った。 「わからないけど、無があるんじゃない」僕は、見上げた空に浮かんだ「こと座」を見つめながら答えた。 「よく、そう言われ…

何処からともなく現れる立方体を、積まなければならない。

できない人ほど求める。

愛人の子として生まれた女は、父親が残した「花」の意味を知った。 彼女は母として、娘に正しさを教え続けた。 これは、ある花の回想である。

１月生まれの千織さんと三島さんに捧げます。 　科学技術の進歩は、人間を神に近づけなどしなかった。 　ただ、人間がいかに不潔で、欠陥だらけの有機物であるかを暴き立てただけだ。 　…

大学三回生の乾は、文学サークルの隅で世間への呪詛を綴る「書けない」男。対照的に二回生の宮尾は才能と愛嬌を持ち、サークルの中心にいた。 乾はある日夢を見る。 夢の中で現実のやり直し…

中央線高架脇の小さな刺青店。男は今日も、人の皮膚を彫っている。誰にも理解されない線を描きながら、ほんとうは誰かに見つけてほしい――そんな身勝手な願いを、必死に押し殺して。 そん…

「音楽に対抗して文学は文楽になりました」とペンギン先生が言った。 　文学部純文学科教授であるところのえらいえらいペンギン先生が言うのだからまちがいない。 　文学は文楽になり、純文…

言葉と孤独の間で、息をする。純文学です。

なんて思うスレたヤツが自分なりの答えを見つけるまでのお話。この物語はフィクションです。

「日本語はむずかしすぎる。たとえば敬語だ。こんな煩雑な尊敬表現は必要ない。そう思わんか？」と文部科学大臣は言った。 　国語課長と国語課庶務係長である私は呼び出されて、大臣室でかし…

純文学私小説です

月餅殿商店路の一角にひっそりと佇む【BAR古都奈良】 『人』の姿をした彼らが集うのは、嘘か真か怪しい噂話や静かに寛ぐ時間を楽しむため その店には六科という風変わりな店主が居て………

カクヨムコンテスト11短編・応募作品。 冒頭14行紹介。 「最悪だ！ とうとう、 この時が来てしまった！ 僕の体も、 ゾンビ化してきたのである。 要するに、 僕はまもまく…

世界滅亡前夜、人類最高齢の女がその妄執的な人生を語る。【全４話／ビターエンド】

初投稿です。

人の寄りつかない林の奥で見つけた奇妙な蕾。育たないはずのその花は、気づけば形を変えていた。 なぜ育たないのか。 いや、なぜ育てるのか。 美しくも不気味なこの花に魅入られ、 日常は…

執筆者が実際にモラトリアムを過ぎてあいまいな2年を経過した時に生じた、突発的な立ちふさがる壁としての命題。 暇なときにだらだら更新していきます。そして実際に暇なのにもかかわ…