週間
ホラーの短編ランキング

2万文字未満かつ完結済の作品を直近7日間のデータで集計しています。
  1. 7

    義母は私の身体を奪おうとしている――私の中に三千六百匹の蟲がいるとも知らずに/

    闇サイトで呪物人形を売るようになって、三年になる。  ある日の午後、見知らぬアカウントから依頼が入った。挨拶も名乗りもなく、最初に届いたのは妙な質問だった。 「魂移しをしたら、元の持ち主を身体から追い出すまで何日くらいかかる?」  適当な日数を返すと、すぐに資料が送られてきた。作ってほしいのは、「命写しの人形」だという。  氏名だけが伏せられ、生年月日、出生時刻、出生地、旧姓が並んでいた。  画面を見たまま、彫刻刀を持つ手が止まった。  私の情報だった。  試しに500万円と返した。  数分後、指定していた決済先に500万円分の入金が反映された。値切る気はないらしい。  その日の夜。  結婚して三年になる夫、御厨壮真が、小さな黒い守り袋を持って帰ってきた。  自分の手で私の首に掛け、紐を念入りに結ぶ。 「千景、母さんがわざわざ作ってもらったんだ。しばらく外すなよ。風呂でも寝るときでも」  隠しきれないほど期待に満ちた顔を見て、少しだけ知りたくなった。  500万円払って、妻の命を買った男。  私の身体に、誰を住まわせるつもりなのだろう。
  2. 17

    お菓子をくれなかったママへ/

    いわゆる中流階級の整った戸建て住宅。医者である父親は家に帰らず、教育熱心な母親の過度な管理と冷徹な視線だけが、小学四年生の蓮(れん)を縛りつけていた。 「虫歯になる」「頭の回転が鈍る」――そんな理由ですべてのお菓子を取り上げられ、友達と遊ぶ自由もなく、蓮の心身はすでに限界を迎えていた。 ​そして、ハロウィンの日。 逃げるように家を飛び出し、夕暮れの公園のブランコに揺られていた蓮の前に、信じられない光景が広がる。 いつも冷たかったはずの母親が、見慣れないほど優しい微笑みを浮かべ、見たこともないほど大きなお菓子を持っていたのだ。 ​「さあ、お家に帰りましょう。好きなだけお菓子を食べようね」 ​その温もりに導かれるまま、蓮は母親の手を取る。 二人が足を踏み入れたのは、夕闇のなかにぽっかりと空いた、底知れぬ黒い穴だった――。 ​少年が消えた後のもぬけの殻となった家で、母親の狂気に満ちた金切り声だけが、いつまでも響き渡る。 ​切なさと恐怖が交錯する、現代のダーク・ハロウィン・ホラー。
    • 完結済 1話
    • 1,818文字
    • 更新
  3. 31

    菊代、貸します/

    夫の実家から押し付けられた、呪いの市松人形・菊代。 フリマで売り飛ばし、転売の果てに三百円まで暴落したところを買い戻した。 タダ飯を食わせる気など毛頭ない主婦の「私」は、電卓を叩いてひらめく。売れない呪いは、貸せばいい。 【レンタル幽霊】一泊二千九百八十円。手渡し限定で、送料も梱包代もゼロ。 ところが力の尽きた菊代は、誰が借りても「普通にかわいい。★3」。 ストップウォッチ片手の演技指導、首回し一回五百円のオプション料金表。取り分ゼロで働かされる怨霊の抗議もむなしく、レビューは伸びない。 そんなある日、思わぬ客層から予約が殺到して――。 怨霊を一円単位で使い倒す主婦と、こき使われる人形の、身も蓋もないレンタル奮闘記。 ――菊代はなぜ三百円になったのか。 首を回され、プチプチで簀巻きにされ、匿名配送で日本中をたらい回しにされた前作はこちら。 『廻る呪詛(じゅそ)〜誰がために呪いは巡るのか〜』(全4話・完結) https://kakuyomu.jp/works/2912051599770529602 ※前作を読んでいなくても楽しめます。 自主企画「2000文字以内でお題に挑戦!」第84回(お題「レンタル幽霊」)参加作品。 https://kakuyomu.jp/user_events/11054822664183585505
  4. 32

    事故物件に泊まって4日目、床下の日記に俺の名前があった/

     俺の仕事は、事故物件に泊まることだ。  幽霊を祓うわけでも、霊感があるわけでもない。不動産会社や投資家から依頼を受け、数日間そこで暮らし、夜間の騒音や臭い、設備の状態を確認して報告書を出す。  今回の依頼主は蒼栄不動産だった。報酬は10万円。場所は海凪県(みなぎけん)霧浜市(きりはまし)にあるマンションの一室で、少し前に人が死んだばかりだという。  担当の坂口剛から聞かされた話では、前の住人は主寝室で首を吊ったらしい。3か月ほど空室になっていたが、購入を検討している客が現れ、契約前に実際の居住状況を確かめたいと言い出したそうだ。  3晩泊まったが、何も起きなかった。  4日目の朝。荷物をまとめようとして、ベッドの下に1枚だけ色の違う床材があることに気づいた。  バールを差し込み、板を持ち上げる。  下から出てきたのは、黒い表紙の日記帳だった。  最後のページだけ、文字がひどく乱れている。 「この調査員は人間じゃない! 毎晩、俺のベッドのそばに立って、寝ているところを見ている!」  日付は10月14日。  俺が1404号室へ入った日だった。  最後の感嘆符を指でなぞると、指先が黒く染まった。  インクが乾いていない。  そのとき、玄関の鍵が回った。  坂口が書類の束を抱えて入ってくる。客を相手にするときの、あの愛想のいい笑みを浮かべていた。 「相沢さん、どうでした? 3晩泊まって、別に何もなかったでしょう。前にいた人、精神的にかなり参ってたらしいんですよ。誰かに見られてるとか言って。報告書、できました?」  日記帳をテーブルに置き、坂口の方へ押した。 「坂口さん。あなたが言ってた、ここで首を吊った前の住人」  坂口の目が日記へ落ちる。 「この部屋では死んでないんじゃないですか?」  口元の笑みが止まった。  その時点では、まだ日記の方ばかり気にしていた。  1404号室から、本来あるはずの空間が消えていることには、もう気づいていた。
  5. 書籍化作品2026年9月17日発売

    【コミック3巻9/17発売!】転生聖女は推し活初心者! ~聖女なのに邪悪の娘と蔑まれる公爵令嬢は推し活に励み過ぎて王子の溺愛に気づかない~【WEB版】/

    ビーンズ文庫様より、WEB版から大改稿のうえ、『転生聖女は推し活がしたい! 虐げられ令嬢ですが推しの王子様から溺愛されています!?』と改題のうえ発売中! 電子書籍特典では大ボリュームの特典SS「女子会と思いがけない来訪者」がついてまいります! ヤマモリニシロ先生によるとっても素敵なコミカライズも連載中です~!ヾ(*´∀`*)ノ コミック第2巻好評発売中ですっ!    ◇   ◇   ◇ 推し様の初舞台を観劇する直前で溺死してしまった女子高校生・絵理。 「もっと推し活がしたい……っ!」という未練を抱いたまま死んだ彼女は、次に気がついた時、アルスデウス王国の公爵令嬢・エリシア・サランレッドとして転生していた。 前世と同じ、黒髪・黒い瞳で生まれてきたエリシアは、聖女の力を持っているにもかかわらず、「邪悪の娘」として恐れられ、蔑まれながら成長する。 十五歳になったある日、王城へ赴いたエリシアが出逢ったのは、王太子であるレイシェルト。 レイシェルトを見た瞬間、エリシアの心に湧きあがったのは「この方を推したいっ!」という熱い想いだった……。 その日から二年。今日も今日とて推し活に励むエリシアが出逢った青年は――? 「今世こそ思う存分推し活がしたいっ!」とほとばしる想いのままに突き進む転生聖女(でも聖女であることは秘密)と、彼女にかまいたい王子様。 「レイシェルト様のファンサービスが手厚すぎますっ!」と感激するエリシアの明日はどっちだ!? 糖度とテンション高々のじれじれあまあま恋愛ファンタジー、開幕ですっ! ※なお、WEB版は本編の途中までの掲載となっておりますのでご了承ください。
  6. 38

    誘い家/

    東京生まれで、土地の伝説や迷信など信じたことのない男・Aは、仕事で岩手県内を移動中、遠野の近くで突然道路へ飛び出してきた少女を轢きそうになる。衝突を覚悟した次の瞬間、Aが目を覚ましたのは、舗装道路も電柱も消え、茅葺きの家と古びた列車が行き交う、昭和初期を思わせる遠野だった。 そこでは誰もAの姿を見ることができなかった。しかし、ただ一人、道路に現れた少女だけが彼を認め、山の奥へと手招きする。少女を追ったAは、杉林の奥で、この世のものとは思えない壮麗な屋敷と宴にたどり着く。そこに集う美しい人々は、まるで以前からAを知っていたかのように彼を迎え入れようとする。すべてを忘れて敷居をまたごうとしたそのとき、鳴るはずのないスマートフォンが一度だけ鳴り、Aは妻と娘のいる日常を思い出す。 気がつけば、Aは現代の高速道路に停められた車の中で意識を失っていた。 すべては夢だったのか――しかし数日後、テレビに映った行方不明の少女は、Aを異界へ導いた少女と酷似していた。そして会社にいる遠野出身の老人から、あの山にはかつて、昭和初期に崩落して消えた「穴」が存在していたと聞かされる。 少女はいったい、どこへ行ったのか? そしてAが見た宴とは何だったのか? 「見間違いだったことにしておきたい」と言いながら、Aは今でも遠野を避け続けている。
    • 完結済 1話
    • 5,023文字
    • 更新
  7. 20話分無料

  8. 書籍化作品2026年10月1日発売

    【10/1発売】【BL】不遇オメガと傲慢アルファの強引な結婚/

    【2026/10/1 ルビーコレクションより発売】 https://www.kadokawa.co.jp/product/322605001322/ アルファの小野耀一郞は、大のオメガ嫌いだ。 だが社長就任の条件が「結婚」だったため、仕方なく取引先の社長令息でオメガの樟を娶った。 時期が来たら離婚すればいい。相手をしなければ浮気するだろうから、離婚理由に事欠かないはずと使い捨ての配偶者に辛く当たるのだった。 しかし、実の父親にすら冷遇されると知ったその日、家に帰ると樟は自室で高熱を出し倒れていた。 クレジットカードを渡しておけば好き勝手するだろうと思っていたのに、彼の部屋には持ってきた段ボールとペラペラの布団しかなかった。 友人が勤める病院に担ぎ込めば叱責され、意外な事実を突きつけられる。 樟には見るも無惨な虐待の跡がある、と。 耀一郞は愕然とした。 樟はオメガであることを家族に責められて生きてきた。その上結婚した先でも迷惑をかけてしまうと怯えていたが、入院しても耀一郞は樟を怒らなかった。退院日に手製のおにぎりを用意してくれ、気遣いがとても嬉しかった。 退院後、耀一郞は優しく接してくれるようになりただ怖いだけの人ではないのだと心が温かくなる。 耀一郞と出かけた先で樟は過去を思い出し過呼吸を起こした。 定期的にカウンセリングを受けながら少しずつ自分を見つめ直す過程で誰に愛されたいかと問われ、耀一郞の顔が浮かんだ。 樟は愛されることを諦めながらも彼へと向かう気持ちを止められずにいた。 その矢先に僅かなすれ違いから耀一郞を怒らせた。強引に口付けられた樟は「その時」がきたのだと覚悟をし、下肢だけを露わにして彼を受け入れようとしたが、上着を取られ隠していた背中を見られてしまう。 数多残る醜い虐待の跡。諦めた樟は、発情したことがない「出来損ないのオメガ」であると告白する。 耀一郞は樟を抱き締め「ずっとここにいればいい」と静かに言ってくれ、彼への気持ちが大きくなる。 カウンセリングの帰りに耀一郞の父親に声をかけられ、夕食に招くことになった。インターホンが鳴り開けるとそこに立っていたのは兄で、突然殴られた。耀一郞が実家との取引を打ち切ったという。すべての不幸はお前のせいだと殴られ続けた。帰宅した耀一郞に助けられたが、兄は契約打切は樟が浮気をしたせいだと叫び、耀一郞から冷たい視線を向けられた。 否定したかったが樟は諦めそのまま病院へと運ばれた。 樟の兄の言葉に、耀一郞はなぜ自分がオメガを嫌い始めたかを思い出す。トラウマに苦しみ樟の顔を見るのが怖かったが、いつまで経っても帰ってこない樟を心配し病院へ連絡するとすでに出たと知らされる。 慌てて迎えに行き連れ帰ったあと、耀一郞は胸の内を明かし、「その傷跡ごと、愛していいか……違う、愛したいんだ。だめか?」と訴えた。子供を産むことができない出来損ないであると引け目を感じる樟も真摯な言葉に、「愛してくれるなら……耀一郞さんがいいです」と初めて自分の気持ちを伝えるのだった。
  9. 73
  10. 86
  11. 93
  12. レベル上げ厨、ダンジョンで無双する/

    ダンジョンが出現したファンタジー黎明期の日本。 レベルにスキルに魔法が世の中に出現し、ダンジョンからもたらされる魔石は極めて発電効率の良い新エネルギー資源として、急速に世界中で広まっていく。 かつてない規模と速度で変革を迎えつつある世界。 主人公、鮫島武男はリアルでレベル上げをしたいとの思いから、高校三年間を準備に費やし、高校を卒業すると同時、進学も就職もせずに探索者となった。 ひたすらレベルを上げることに情熱を燃やす武男。 だが、新時代の争乱は「レベルが高いだけの一般人」という矛盾した存在を放置することはなく、武男は力を手に入れたがゆえに様々な事件に巻き込まれていく――。 【注意】主人公は後に効率的なレベル上げの方法を確立し、世界でも最強レベルの存在となりますが、特殊なレベル上げ方法の前提条件を整えるまで、それなりの時間を要します。「最初から裏技的な方法でレベルを上げて無双する」といった話ではありません。 書籍化に伴い、タイトルを変更しました。 旧題:レベル上げ厨、現代ダンジョンでレベルを上げる ◆◆◆お知らせ◆◆◆ 【極剣のスラッシュ ~初級スキル極めたら、いつの間にか迷宮都市最強とか呼ばれてたんだが~】という小説も連載しています。 主人公最強モノです。完結済み。 お暇な時にでも読んでいただけましたら幸いですm(_ _)m https://kakuyomu.jp/works/16817139556288291993 ※当作品はカクヨムのみ掲載中です。 無断転載、無断翻訳、YouTubeなどでの無断朗読を禁止します。