概要
夢を信じ、自分の声だけを頼りに歌ったその夜――評価されたのは彼ではなく、周囲のミュージシャンだった。
時は流れ、男は家庭を持ち、夢から距離を置いた人生を送っている。
問題を起こした息子とのすれ違いに悩むある日、かつて音楽仲間だった知人から一本の連絡が入る。
プロ志望の若いボーカリストのサポートを頼まれたのだ。
再び立ったスタジオで、男は異様な既視感に襲われる。
その少年は、かつての自分と同じ名前を持ち、同じ街で育ち、同じ歌――
イーグルスの「デスペラード」を歌おうとしていた。
過去はやり直せない。
だが、過去と向き合うことはできるのかもしれない。
夢に傷ついた男が、もう一度音楽と向き合い、
自分の人生の意味を問い直す物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!変わらぬ過去に未来に、ささやかな「きっかけ」を
えっと……どーうしましょう……。
なんだかぼうっとして、ちゃんと書けるかわからないので……ここで「読んでみてください」とお伝えしておきます。
30年前からあまり変わらないようで、確実に変わっている主人公。
諦めたから、なくしたからわかること。
でも諦めたから、なくしたから、言葉にならない。
言葉にならないから、なにも──。
そこに、ひとつの飴玉を。
あざやかな青の飴玉で、変わらないものが、変わらないまま、変わるのです。
10代の少年と40代の壮年の、おなじ言葉による、まったく違う叫び。
美しい哀愁のただよう、情熱の滲んだ物語です。
ぜひ。 - ★★★ Excellent!!!届くか、この言葉、この思い
主人公はかつてライブハウスで「デスペラード」を歌い、酷い結果に終わってしまった。
時は流れ、妻には冷たくあしらわれ、息子は話を聞いてくれない日々。
そんなある日、知人から助けを求められて……。
若い頃は、大人からの耳の痛い言葉なんて聞きたくなかったのに、歳を重ねると自分が「聞き入れられることのない言葉」を発する方になっている。
あの頃の自分に、言葉が届いたら、今の自分は違う生き方ができたかもしれないのに。
誰もが一度は、そんなことを思うのかもしれない。
では本当に、言葉を届けることができたら……?
変わるのは過去か、今か。不思議なセッションを、ご堪能ください。 - ★★★ Excellent!!!人生を変える一曲
無味乾燥な街から抜け出すべく歌手を目指した三十年前。
チャンスはめぐってくるものの、自分の力を過信しすぎてしまいました。
結局のところ夢はやぶれ、ただただ時間を過ごすばかり。
妻には頭が上がらず、息子とも心が通じない。
俺の人生、無駄だ。なんの意味もない。
あのワンステージさえモノにできていれば。
もうこうなったら、残りはただの消化試合。
鬱屈した毎日の中、一つの話がやってきます。
ピアノを弾いてくれないか、と。
聞けば聞くほど、三十年前の状況に酷似しています。
ピアニストに立場を変え、自分そっくりなヴォーカルを支えるという点以外は。
このステージ、なんとし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!苦い過去は苦い過去。救いや再起は不可能でも、きっと「何か」は手に入る
「これ、なんかカッコいい」
読み終えた後、多くの人がおそらくはそう感じることでしょう。うまく言葉にはできないけど、なんかカッコいいものを見た。そう思わせてくれる作品です。
主人公は現在、鬱屈とした日常を送っている。息子は協調性のない人間で手を焼いている。妻にはそれを叱るよう言われるが、自分も似たような人間なのでうまく叱れない。
彼はかつて音楽の世界で名をなそうとしていたが、とにかく「自分」や「周り」がまったく見えていなかった。そのために「なんか凄い奴」な自分を世に知らしめてやろうなって気持ちばかりが専攻し、バンドの演奏なんてろくに聞かずに歌だけ暴走させて、結果大失敗ということに。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!イーグルス デスペラードの魂を刻む物語
次の少女の飴で、彼は何を掴むのでしょうね。
きっと奇跡が起こるに違いない。そんなワクワクを感じるエンディングでした。デスペラードを聴きたくなる作品。
大人が若者に愛をもって伝えたい。それは、自分へのメッセージ
自分も同じように未熟でトゲトゲして、大切なものを失った経験があるから。しかし、あの時にしか持てなかったものは希望や夢、未来だった。
若者にいくら何を言っても、伝わらないのは、
大人の失ったものが見えるから。
しかし、ダイヤのクイーンを選ばないでと言っても、選ぶのが若者
Desperado, oh you ain’t gettin’ no younger
ならず者よ、若返るこ…続きを読む