死神は愛を知らない

物語は、死神界の最高審問官代理アシュレイザル・ヴェルノワの「不完全さ」から始まる。
死神にはあるまじき人間の感情を持って生まれた彼は、養父である最高審問官マグナリオの指導の下、冷徹な論理で感情を抑制することを強いられていた。

ある日、アシュレイザルは「死なない運命」を持つ海神の加護者カイエルと邂逅する。
カイエルはその不死の運命を呪い、死を強く望んでいた。
カイエルが死を望むあまり、他の死神から生命力を詐取する絶対的禁忌を受け入れ、その結果、死神の呪印を宿してしまう。
アシュレイザルは、この呪印が海神界と死神界の均衡崩壊の危機を招いていることに気づく。

アシュレイザルは極度の希死念慮を持つカイエルに接触するうち、その純粋な心と絶望に共感。
「救いたい」という感情を抱き、禁忌を犯してカイエ…続きを読む