とある世界の片隅の図書館… 「読んだ君は何を感じた?」と問いかけるダーク・ファンタジー集です。「 天使に力を与えられながら虐げられた少年」「敵を信じて戦い続けた蛮族の王」「理不尽なシステムの中で仕事を続けた処刑人」「最悪だと言いながらも最後まで生きようとする乞食」「女王のために禁忌を犯した騎士」「ただ空腹を満たしただけの獣」「合理と正しさに徹した機械仕掛けの神」「怪物と人間のあいだで揺れる青年とアラクネ」「一瞬の開花を永遠に描き続ける画家とクロリス」などなど。それぞれが「幸福」「罪」「救い」「意味」をめぐる選択をして悲劇や余韻を残します。まるでいろんな国を旅していろんな経験を積んでいくようです。物語はどれも終盤に語り手の短いコメントと問いが投げかけられます。教訓を押しつけるのではなく、旅人たる私たち自身の倫理観や価値観を揺さぶるような、そんな珠玉の短編集です。
全24話を通して読みました。
一話完結の短編形式ですが、読み進めるほどに、一つのテーマ性を持って描かれている物語群であることが分かってきます。
特に二話目の「幸せの天使と不幸な少年」は、絵本のような書き出しとやさしい文体で始まりながら、最後に強い問いを残す一編でした。
読後に思わずコメントを残したのを覚えていますが、本作全体の方向性をよく表している話だと思います。
善意や正しさ、救いといったものが、必ずしも幸福につながらない。
登場人物たちは皆、自分なりの理由を持って行動し、その結果として破滅や孤独に行き着きます。
誰かを裁く物語ではなく、読む側に考えさせる余白を残す構成が一貫しています。
それぞれの話で深いテーマを扱いながらも、文体は丁寧で読みやすく、過度に悲観的であったり、残酷さを強調していません。
読み終えたあと、じんわりと余韻が残る短編集です。
「幸せは、奪えばいい。」
その一行にたどり着くまでの過程が、痛いほど丁寧で、だからこそ恐ろしい。
祈っても救われない少年に、気まぐれな天使が“幸せを手に入れる力”を貸す。
少年は善意で使ったはずなのに、返ってきたのは「死霊術だ」「悪魔だ」という石と炎。
その瞬間、世界の見え方がひっくり返る。
少年は“幸せ”を学ぶのではなく、“奪う”ことで手に入れようとしてしまう。
そして物語は、焼け野原の果てで出会う「最後の村」の女によって、もう一度ひっくり返る。
見えない目、傷だらけの体、ひとりきりの祈り。
彼女の「ありがとう」が、少年の中に残っていた“人間”を呼び戻してしまうのが、あまりにも切ない。
天使と少年、羽の貸し借り、地獄と救い。
童話の顔をした寓話なのに、読後に残るのは「自分にとって幸せって何だろう」という鋭い問い。
優しさが救いにも罠にもなる、苦くて美しい物語です。
童話のような短編集形態なのですが、自分の価値観や考え方を見つめ直させてくれるお話です。
10人いたら10人違う答えが出るかもしれない。
だから、読んだ人がどう思ったのか聞きたくなります。
切実に聞きたいです。
私は自分の考察や物語から考えた気持ちを、応援コメントに超長文で書いちゃってます。
自分の価値観を見直せるので、すごく読んだ後すっきりするんですよね。
一つの物語の中の登場人物は多くありません。ただ、色々な見方ができます。短編の中でこれほどキャラクターの背景や思い、その行いが『どうなのか』を考えさせられる作品ってとても貴重だと思います。
コメント欄が沢山の人の『どう思った?』で沢山埋まって欲しい。色々な意見を聞いてみたい(切実なので二回言いました)
それくらい深くて、少しだけ温かくて、悲しい物語です。