夏休み、幼馴染や仲間たちと訪れた、かつての秘密基地。
山奥の廃神社で見つけた古い鏡をきっかけに、中学生の八尋凪たちは、遠い過去を生きる少女・菊枝と時代を越えた交流を始めます。
初めは、胸躍るひと夏の冒険でした。
鏡に浮かぶ返事を待ち、新しくできた友達との会話に喜ぶ。
キャンプではしゃぎ、幼馴染の紗名へ芽生えた淡い想いに戸惑う。
眩しい青春と、どこか懐かしい山里の風景に、まるで自分まで彼らと夏休みを過ごしているような気持ちになりました。
主人公の凪は、決して何でも冷静に判断できる少年ではありません。
怖がり、悩み、ときには危険も顧みず飛び出してしまう。
けれど、鏡の向こうにいる友達を見捨てることができない、真っ直ぐで優しい少年です。
そんな凪を支えるのが、状況を冷静に見つめ、わずかな違和感から突破口を見つける悟と、大切な人のためなら迷わず飛び込んでいく未久。
異なる強さを持つ三人が、互いに足りないものを補いながら立ち向かっていく姿には、何度も胸を熱くさせられました。
そして、凪の隣には、生まれた日からともに育ってきた幼馴染の紗名がいます。
笑い合い、支え合い、これから先も変わらず一緒にいるのだと思っていた存在。
けれど、その穏やかな日々の背後には、神話の時代から続く、あまりにも重く深い執着が潜んでいました。
愛しているから守る。
愛しているから逃がさない。
そして、愛しているからこそ、相手の意思も、命も、未来さえも、自分の望む形へ塗り替えてしまう。
神に愛されることは、必ずしも祝福ではない。
そう気づいた瞬間、背筋が凍りました。
甘酸っぱい青春は、時を越える冒険へ。
冒険はやがて、逃げ場のない神話ホラーへ。
凪が繰り返し見る悪夢の正体。
過去との交信が途絶えた理由。
鏡に秘められた力と、土地に残された古い因縁。
何気なく置かれていた言葉や出来事が少しずつ結びつき、物語の姿を大きく変えていくたび、驚きと恐怖にページをめくる手が止まりませんでした。
それでも本作は、恐ろしい女神を力で打ち倒すだけの物語ではありません。
愛しているなら、その人の未来を奪ってもよいのか。
失った時間を取り戻せないとしても、もう一度「初めまして」から歩き出すことはできるのか。
歪んだ愛と向き合った凪が、最後に何を選ぶのか。
その答えに辿り着いたとき、恐怖の奥に隠れていた切なさと、この物語が描き続けてきた優しさが、一気に胸へ押し寄せました。
そして、この物語を支えていたのは、一人を独占しようとする執着とは正反対の、時代を越えて受け渡されていく数多くの想いでした。
誰かを救いたいと願った言葉が時を越え、別の誰かの手へ届く。
その手がさらに次の誰かを支え、やがて閉ざされた未来を切り開いていく。
凪たちが出会った人々の想いが、どのようにつながり、どのような未来を生み出すのか。
ぜひ彼らとともに、時を越えて結ばれていく想いを辿ってみてください。
日本神話を知る方はもちろん、詳しくない方にも、登場人物たちとともに謎を追い、
怯え、笑い、胸を熱くしながら楽しめる作品です。
これは、悲劇を繰り返すための「やり直し」ではありません。
失ったものを抱えながら、それでも、たった一度しかない未来へ歩き出す物語。
長い夜の果てに、彼らが手にするものは何なのか。
その答えを、どうか最後まで見届けてください。
日本神話に詳しくなくても、耳にしたことはあるだろう、
始まりの女神に主人公の凪は付きまとわれているらしい。
閉ざされた時空の中で、十五歳の誕生日を迎えられずになんどもなんども繰り返される悲劇。
幼馴染の紗名の中に居る女神の目をかいくぐって、抜け出す道はあるのか?
何せ、相手は神さま。おっかないったら、無い!
でも、凪は一人ではない。
共に戦ってくれる友人たち。
そして、神鏡の奇跡を使い、時を超えて助力してくれる菊や善三は、まさかの凪の◯◯で!?
そして、恐ろしくも切ない女神の心に触れた凪は何を思う?
散りばめられた伏線、名付けの妙。
作者さまのセンスが光ります。
神に愛される、という状況をここまで「救いではなく呪い」として描き切っている作品は、珍しいのではないかと感じさせる本作。
イザナミの愛は、情動的なヤンデレではなく、神であるがゆえに一切の妥協も逃げ場もない「論理としての愛」として存在しています。
そのため主人公・凪が置かれる状況は常に理不尽で、それでも抗おうとする姿勢に、この物語の芯があります。
鏡送りの儀という仕掛けも、単なるギミックに留まらず、「救いたい相手に触れられない」という距離の残酷さを強調していて印象に残りました。
誰かに強く想われることが、必ずしも幸福ではないというテーマを一貫して崩さず、毎回絶望的な状況をなんとかくぐり抜けていくスリルに、読む手が止まらなくなります。
この先どうなるかを楽しみにしている読者のひとりとして、ヤンデレという言葉のイメージだけで敬遠している人ほど、一度読んでほしい作品です。
逃げても、逃げても――
あの「黒い影」は、必ず追いかけてくる。
夏の始まり。八尋凪は繰り返し見る奇妙な悪夢に悩まされていた。
それは深い山の中、何かに追われ、捕まり、そして終わる夢。
目覚めれば、いつも額に汗。残る得体の知れない不安。
そんなある日、幼馴染の紗名や仲間たちと訪れた地元の神社で行われる祭――
「鏡送り」と呼ばれる不思議な儀式が、凪の中に眠る何かを刺激する。
偶然見つけた古びた帳面。そこには、封じられた神社と「別の時代」への言及があった。
かつて「秘密基地」と呼び遊んだ、今は誰も近づかない山の廃神社。
あの場所に、何が眠っているのか?
そして、夢に現れる「黒い影」と祭の鏡は、いったい何を繋げているのか?
現代で普通に生きてきた中学生・八尋 凪
ある日、友達や幼馴染と見つけた古い鏡
鏡にはとても不思議な秘密があって?
時を超えて昔の人々と交流ができるというものだった!
過去に生きる少女と交信を始めることになるんだけど?
放っておけない大変な災害が待っていた!
仲間と一緒に過去を変えようと奔走する主人公
そして知ることになる驚きの真実
主人公を心から愛する女神様が目の前に!
女神様レベルのヤンデレ愛はまさに狂気!
時を超えた執拗な想いがまさに究極の愛!
主人公の秘めた想いはどうなるのか?
ヤンデレ女神様の愛はどうなるのか?
怖いくらいに愛に満ちた恋物語の行く末を見守ってください!!!
鏡を持ち出したことを大人に言わなくていい、鏡送りのことも報告するとややこしくなるからと……そんな自分の言葉のせいで、時代を超えた友人である菊枝が亡くなってしまった。
救えた命と救えなかった命と。
少年少女たちはこれからどう向き合い答えを出すのか……期待が高まりますね!
***
最終話まで読みました。
すごいです。
怒涛のクライマックスにストーリーテラーだなと思いました。
何度手に汗握ったことか。
とにかく読んでいて先を予想できずハラハラドキドキしました。
これからの凪たち幼馴染たちに幸あれ!
執筆お疲れさまでした。
第14話までのレビューとなります。
鏡を用いて別の時代と交信する儀式『鏡送りの儀』――主人公・凪とその仲間たちは夏休みにその鏡を介し八十年前の時代の少女・菊枝と交信することに成功します。
地元神社での古い儀式を現代に蘇らせたのです。
しかし、ある日突然その交信が途絶えてしまいます。その最後ともいえる交信は今は亡き凪の祖父・善三によるものでした。その背後には不穏な出来事が迫ろうとしていたのです。
伏線の糸が幾重にも絡みつく展開。その中でも凪の繰り返し見る夢の変化に注目してみてください。自分自身が「イザナギ」という男神と重なる感覚を介し、日本神話の死を司る神「イザナミ」との関係を呼び起こす描写には息を呑むほど引き込まれます。
ひと夏の不思議な心地は神と人間が交差するところに齎されるのでしょうか。
物語はまだ始まったばかり。
凪の抱く恋の行方も、
神話が介在する深淵なる謎も、
その先が気になって仕方がありません。