「円城塔賞 ディストピア」を含む小説

ショートショートのお話です。 よりよい社会のために働いていました。 頑張って働いていましたが、努力には限界があります。 効率化のために才能を調べ、その人に向いた職場で働けるよう…

行政特区カワサキ―― 工場が吐き出す毒によってもたらされるインカム――<カネ>が倫理を支配するこの街。 ここには、公害汚染によって理性を失った若者たち――通称<特異廃棄物>が跋…

「……ガガ……実存の特売会場はこちら！いまなら姉妹の頭蓋盛りが衝撃のぷらいす！」 あわわ、頭の中でテレビCMが止まらないよう！はらぺこ少女がディストピア世界でハラハラです。 ※…

社会全体が「生産性」によって数値化される未来。 すべての行動はアウトプットと見なされ、集中力（FP）は常に表示され、監視され、管理される。 その都市で、「非効率」な言葉を一度…

感染者に溢れた世界……。 人間として生き残るためには？ おれとユイは必死の逃亡を続ける。 二人で生き残るために。 たとえ、世界が終わるとしても、二人で……。 「切ない」「ワンナ…

林檎農園の農作業用ロボットは、人類を信じている。 恋人のロボットは人類を疑っているから、仲間をつくった。 ※こちらは『黄金林檎の落つる頃』に大幅加筆したものです。

　――桜になるつもりだった姉の死骸は、牡丹になっていた。 　膨れ上がった高齢者人口と思想が、葬儀件数と種類の増加、費用の高騰を招いて幾年。 　世に、死ぬと花になる薬が登場した。…

俺には記憶がない。いつからか、研究所から金が振り込まれている。それが当たり前だった──ある日、隣人が言った。『お前はモルモットだ』と。

洋上に取り残された、地図からも消えた廃棄海上都市。 完全無人のはずのその都市から、今も「人口：10,284名」「行動ログ更新：最新」という報告が上がり続けている。 若手研究員・…

　その通知は、赤い封筒で届いた。 『特別屍籍法』 （正式名称：個人番号制度運用特別措置法） ◉目的：行政コストの適正化および社会の新陳代謝を促進するため。 ◉罰則：期間内に応…

意識だけを幸福な記憶に接続し、記憶の中で死を迎える制度、記憶死。選べる期間は3年、5年、10年。主人公は5年を選び、記憶の入り口を大学三年の夏休みとした。何も特別なことがない日常…

　人類は卵生です。 　体外受精です。 　常識ですね。 　人間の卵であるクレイドルはネット通販でも買えます。 　もちろん食べません。 　食べることができません。 　クレイドルは卵…

　砂浜に寄せる波が、滑らかな勾配であることをやめる。 　連続という仮定が失効した世界で、自然現象はアナログな運動からデジタルの更新へと変質していく。 　濡れ境は段差となり、光は…

人手不足を補うためにアンドロイドであるヒューボが導入された世界を舞台に描くSFタッチの人間ドラマです。 主人公の林翠はある日旧友の浅見椿から、夫・浅見穣がヒューボかもしれないと相…

送られた区画はLV3。定められた刑期は二九二〇サイクル。 私はここで、救いの船を待っている。 ディストピア系サイバーパンク。 （以前に公開していたもののブラッシュアップ版です。）…

静かな1612文字で語られる、色の数少ない地区の物語。【前後編のみ】

完璧な愛は、管理だった。 紀元3045年。究極の環境最適化AI「PAC」は、人類からすべてのストレスと非効率な感情を排除し、世界は無味無臭の「穏やかな満足」に満たされていた。人…

　七雲夕翔（なぐもゆうと）は高校二年生。学校からの帰り道、不思議な男に会うが直ぐに消えてしまった！ 　平凡な高校生の日常が崩れていく…… 　物語の様相がどんどん変化していきま…

20XX年11月6日。世界中のデータベースと公的記録が、一瞬で消滅した。「エラーコード201」が繰り返されるディストピア。 銀行残高も戸籍も消え、真実の主張だけでは生存できない…

軌道戦争後の荒廃した地球。シンガポール沖のメガフロートで暮らす少年レオは、味も希望も失った日々を送っていた。ある日、軌道エレベーターのダクト清掃中に迷い込んだ地下で、彼は「生きて…