スーパー金持ちマン

とある街の片隅、「毎日地球新聞配達店」で働く星野透（28）。
強い近眼の眼鏡に、短い返事。人混みは苦手で、目が合うと息が詰まる。
だけど新聞配達の“決まった手順”だけは、透を落ち着かせてくれる。

透には、誰にも言えない秘密がある。
金ピカのスーツを着ると、必要な額の現金が――パンツの中に湧いてくるのだ。

ただし、欲しいからといって出せない。自分のためにも出ない。悪に払う金も出ない。
出るのは、困っている人のための“ちょうどの額”だけ。
しかも、渡す前に羞恥に負けると清算される。

風船が買えない子ども。いじめで怪我をした低学年。
そして悪徳金融に追い詰められる町工場「神崎精機」。
透は金の力と、淡々とした手順で、今日も誰かの“詰み”をほどいていく。

名乗るが、呼ばせない。
「金持ちマン…続きを読む