優美なるアルカイックスマイル、貞淑な佇まい、物静かな情緒。麗しき石楠花のような彼女……荒井カコだが、彼女にとって暴力とは、コンピュータが二進数の演算でシステムを構築するかのごとく出力される、問答無用にして不可分の領域である。
粗暴と柔和の渦巻く台風の目こそ荒井カコ。不届な妖怪の脳天に振り下ろされた過去帳、その衝撃のまま倒れゆく図体の奥から現れる、不動の微笑みは不気味なほどに可憐だ。
私という読者はコントラストというものにすこぶる弱い人間である。彼女はそこに佇むだけで、鮮烈なまでのコントラストを体現してみせる。私が彼女に惹かれてやまないのは、彼女がそれを必要とした時暴力を振るうように、あまねく生命に終わりが訪れるように、当然のことだったのだろう。
とにかく私は荒井カコを愛している。荒井カコという暴力装置が、侃螺という妖怪との出会いによって、時折微かに覗かせる年頃の少女らしい一面にときめいてやまず、彼女のもとに集う愉快な妖怪たちの活躍にも期待を隠し得ず、苑ノ崎結華の事情が明かされるその日を心待ちにせずにはいられない。
この作品はとかくキャラクターの魅力という点で優れている。それもまた、ストーリーから目が離せない要素の一つであると思う。
今後の展開にさらなる期待を表明し、本レビューを締めさせていただくこととする。