概要
村では、誰も理由を語らないまま、白い布が風に揺れていた。
その布を抱く少女との出会いが、彼の時間をゆっくりと変えていく。
沈黙の村に、白の残響だけが残っていた。
そして白布の奥で、いまも呼吸する“何か”。
――それは、ひとつの命をめぐる、祈りの記録。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!【完結】最後の一糸が結ばれるまで、言葉にできなかった敬意を込めて
この物語は、完全な一枚の布として織り上がるのを待ってからレビューしたい、そう思わされるほど、誠実で、緻密な美しさに満ちた作品でした。
読んだ皆さんの心に、新たな糸が織り込まれること間違いないと思います。
ネタバレなしでうまく言語化出来るかわかりませんが、わたしなりにこの作品の「糸」をお伝えしたいと思います。
① 主人公と少女たちのやりとり
主人公が訪れた村で出会う少女たち。その不思議なやり取りは、あなたの頭を悩ますかもしれません。そのやり取りの奥に思いを馳せる時間が魅力の一つです。
主人公という一人の人間に見つめられ、確かな輪郭を持っていく。誰かに想いを大切にしてもらうことで人はよ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!丁寧な描写と感情の物語
大学の卒論取材のため、山あいの小さな村を訪れた主人公は、白い布を織り続ける少女・澄羽と出会う。
村では「白羽様」と呼ばれる存在が風と糸を通して村を守ると信じられており、澄羽はその役目を担う少女だった……
全体を通して、とても静かで、やさしい物語だと感じました。
大きな事件や派手な展開はありませんが、そのぶん一つ一つの描写や感情が丁寧で、自然に心に入ってきます。
澄羽という少女が「守る存在」でありながら、ただ空を飛びたいと願う普通の少女でもあるところが、とても切なかったです。外の世界を知らないまま役目を背負わされている姿に、胸が苦しくなりました。
また文体については、とても繊細で、詩に近…続きを読む - ★★★ Excellent!!!白い布が織り成す、残酷で美しい七日間。
白布が揺れる。針が鳴る。人々は口を閉ざし、少女は自らの運命を「織り上げる」ことで村を守る。 主人公である大学生が迷い込んだのは、現代から切り離されたような、信仰と沈黙が支配する村でした。
ヒロイン・澄羽が抱える「生きている布」の正体とは。
そして、夢と現が交錯する中で零れ落ちた「血の一滴」が意味するものとは。
一章のクライマックス、名前を呼ぼうとして声にならないあの瞬間の切なさは、文章では表現しきれないものがあります。
失われると分かっているからこそ愛おしい。そんな祈りのような物語に触れたい方は、ぜひ彼女の織る糸を辿ってみてください。一章を読み終えたとき、あなたの掌にも、確かな「白の記…続きを読む