すごかった。
難しい文体なのに読んでいて、なんとなくの情景が頭に浮かんできて、
まるで1本のショート動画を見ている感覚だった。
最初1話を読んだ時理解できなかったが、2話を読んでから
ああ、主人公は小凌じゃなく李昰だったんだーと思って
そのまま3話、4話と読み李昰が讒訴するまでの流れや思い、後悔があふれてきて
もう、うわーっとなりましたよ。
いいものを見せてもらいました。
多分もうちょっと描写を書けたでしょうが、9999字という縛りの中
ここまで書けているのが素晴らしいと思いました。
文体がやはり難しいので読みづらかったところは童話版で保管しました。
こちらは読みやすいのでいいのですが、何かが違う…
難しいけどこの文体が正解なのでしょうね。
讒訴というタイトルが秀逸で象徴的です。
古代中国"眞"国の英明の王・凌政を軸として、
白皙の秀才丞相李昰は、荀子をおさめその才覚を若き王と国体に惜しみなく注ぎながらも、
同門の俊才・韓非という存在に平常をうしない、妬心から思いがけない行動を取ってしまう。
文章は重厚無比、ですが主要人物が鮮やかに描かれ対比され現代の私たちの心を抉り取るのです。
韓非子の告発は美事。
凌政(秦王・嬴政ですね)の視線は平らかにして峻烈。
この二人をさえ凌ぐキャラクターが主人公の李昰(李斯)です。
この複雑な人物、懊悩の艶を短編で著しきった作者様に嫉妬を覚えてしまいます。
春秋戦国時代の秦国を「眞」に、嬴政は「凌政」に、そして李斯は「李昰」というメインとなる視点人物として、韓非子を巡る史実が一つの考察のように物語として綴られています。
しかしこの物語には、単なるフィクションとは言い切れない奥深さ、勉強になるほどの細かな人物背景の描写があり、読み始めれば惹き込まれる魅力を感じました。
〝讒訴〟……それは他者を貶める告げ口のようなもので、また讒言とも呼ばれ、歴史においても奸計に陥れられ命を落とした者が実在するほど。事実、中国史には多いですし、史実においても韓非子が被ったとされています。
しかし、なぜ自らも厳粛な法家のはずの李斯(ここでは李昰)が、讒言など弄したのか。韓非の才に心酔する主君に、何を思っていたのか……。
ある種、自らの行いで「性悪説」を証明してしまったような、李斯と韓非という二大法家の間に起きてしまった大事件。
個人的にもとても興味深かった出来事なだけに、この物語を読ませて頂き、
「こういう考え方もあるのか!」「こういう描き方もあるなんて……!」
と手を叩いて感嘆させて頂いたほどです。
とても興味深く、何より面白かったです!
また骨太な筆致が、歴史小説ならではの重厚感を底上げしており、読み応えも抜群でした。
是非ともご一読をおすすめ致します!